シャチ
これの続き
「や、来たね。」
出港まであと三時間というところで彼女は来た。変わらず背後は透けている。
「みょうじよね?」
「ああ、そうだよ。あんたは?」
「なまえよ。」
「なまえ、あんたいつからそうなった。」
彼女の声はどこか不思議な響きを持っている。彼女の体と同じように、彼女の声までも透けているような、そんな感覚を覚えた。
死んでいるのか悪魔の実の影響か、はたまた目視できぬ異形の仕業か。私の手の及ぶものではない為分からない。
私の仕事は失われたものを探し、依頼者に届けることだ。
「半年も前よ。」
「死んだのかい?」
そうよ、と、彼女は言った。
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