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ロー船長

『おはよう!元気?私は今日も元気!昨夜ね、夢を見たのよ!』

炎を吐くドラゴンを、ベポと一緒に倒したのよ。ベポったら強くってね、蹴っただけでドラゴンを吹き飛ばしちゃったのよ。もう凄かったんだから。
何を語りかけても彼は私を見ない。彼の視線は壁に貼られた写真に注がれている。
私もそちらを見た。写真には、幸せそうに笑う私と愛想のないローが写っている。
視線をローに戻した。

『写真ばっかり見てないで、私を見てよ。』

写真は、私が死ぬ数日前に撮られたものだった。ペンギンが、写真が嫌いなローに隠れて撮ったものだ。撮られたことに気付いたローは、その場では怒りの表情を見せるものの、けれどその写真を没収と言って部屋の壁に貼るのだ。だからローの部屋にはペンギンが撮った写真が沢山ある。シャチやベポが撮った写真だって。
ローには私が見えない。シャチやペンギンやベポにも私が見えない。私は、今ここに居るのに独りなのだ。
ローに笑ってと伝えられないし、忘れてとも頼めない。
ローも私も、あの日から一歩も前に進めていない。


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