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ロー船長

「うええええ注射嫌だあああああ!」
「うるせえ騒ぐな。」
脚の間に座らされて抱きかかえられる私の腕にチューブを巻いて圧迫したロー。片腕で抱き込められてはなす術がない。痛いの嫌だ怖い嫌だ。
えぐえぐと泣いていると何を思ったのかローが私の首筋に唇を這わせた。ヒッ、と短く悲鳴を上げる。ちゅ、とリップ音を鳴らして唇が離れた。かと思った次の瞬間。
「うあアッ、いってええ!」
がぶりと噛み付かれた。
やだこの人何考えてんの首の肉千切れちゃう抉れちゃう首細くなっちゃうううう!
「痛い痛い、何すんのー! うわああああん!」
「うるせえな……ほら終わったぞ。」
「ええ……?」
腕を見ると、脱脂綿があてがわれていた。押さえとけ、というローの言葉に従い 濡れた脱脂綿を押さえる。ほんの少し、何がどうなったのか気になり脱脂綿を持ち上げると涙が出た。染みた、痛かった。
「痛くなかったろ。」
「痛いよ馬鹿、ローの馬鹿。大好き。」
「そうかよ。」
ふ、って笑うローの声。


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