ロー
人生ってのはゲームだと思ってる。いつでも自分が主人公のゲーム。セーブもリセットもできないゲーム。例え悪者が居ても例え主人公でも、悪者を倒す権利の無いゲーム。
リセットができない、悪者を倒せないゲームなんて私にとっちゃクソゲーだ。だからこの人生もクソゲー。
『リセットできないゲームとかクソゲーじゃない?』
『リセット厨のお前にとっちゃそうだろうな。だが、遊び甲斐があっていいんじゃねェか?』
『まぁそうだけど。選択肢を選ぶ時間が与えられないならやっぱクソゲーだよ。』
リセットができないなら強制終了する。
「ゲーム」なら本体からソフトを抜けば良い話だが、「人生」ってやつは本体もソフトも無い。だったら、
『リセットできないなら死ねば良いんだよね。』
『おい、やめろよなまえ。』
ローの言葉を無視して、私は机の上にあったカッターで首筋を切った。傷口から血が噴き出し、目の前が真っ暗になる。
「リセットできないなら死ねばいいのよ。」
「ロー」と付き合ったのは間違いだったかな。次はルフィにしよう。
ああでも、また小学生からやり直すの面倒臭いなぁ。時間がかかりすぎる。次は、まだ通ったことのない女子校に通わせてもらおう。
「GAME OVER」と表示された画面を見ながら「次」を考え、けれど階下から私を呼ぶ母の声に返事をしてゲーム機の蓋を閉じた。
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