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シャチくん

私にはフラグが見えている。死亡フラグ、恋愛フラグ、ハッピーエンドフラグ、その他諸々。その中でも最近特に見る機会が多いのは死亡フラグだ。ふざけろ。
私がフラグを回避するために行う行動は主に三つある。ひとつ、叩き折る。ふたつ、引っこ抜く。みっつ、燃やす。
「え、燃やす?」
「燃やす。」
呆けた表情をするキャスケット帽がトレードマークの友人は、私の返しを聞いた直後テーブルの横を通ったウエートレスに声を掛けてコーヒーを頼んだ。それに続いて、私もオレンジジュースを注文する。
私たちがこのカフェに居座ってかれこれもう2時間だ。店側としてもそろそろ邪魔に感じるだろうと思う。さっきより店員がこのテーブル付近を彷徨く回数が増えたのがその証拠だろう。
しかし今外に出るわけにはいかないのだ。何故ならカフェの向かいにあるビルの屋上に置かれた看板。あれが風に煽られ今にも落ちてきそうだからだ。
そして私の頭の上に生えた「バッドエンド」と書かれたフラグ、どれだけ引っ張ろうともこれが中々抜けてくれない。マジイミフ。抜けろや。
必死こいて頭の上のフラグを抜こうとしているとシャチが口を開いた。
「なあ、今お前すっげぇ変な奴だぜ?」
「お黙りシャチ。私はこれを抜かないと死ぬんだよ。バッドエンドでデッドエンドだよ。ふざけんな!」
「コーヒーとオレンジジュースをお持ち致しました。」
「あ、どうもー」
「ごゆっくりどうぞ。」
ガコン、例の看板が強風に耐えられず屋上から落ちてきた。そのまま下に落ちるものかと思いきや、紐に引っ張られたかのように進路を変えて私が居るカフェに突っ込んでくる。私が居る、カフェに。



バッドエンド回避
タイトル、背中合わせの君と僕


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