log.. | ナノ

個性:あべこべ

※個性 : あべこべ
    好きなら嫌い、嫌いなら好きといった具合に言いたいことと真逆の言葉を言ってしまうぞ!これはその人の語彙が高ければ高いほど無条件に発動するぞ!




 げつようび。A組の爆豪くんのお顔を軽率に視界に入れてしまって目がしわわせ。でも好きな人を前にしてしまって心がしんどい。心臓がめっちゃバクバク言ってて爆発しそう。
「あっっばばば爆豪くん……!!」
 なんで話しかけたのか自分で自分が理解できないけど爆豪くんがとても不機嫌に「ア?んだてめぇ」と私を睨んだので更に心がしんどい。
「あっあなたのことっ…嫌いです!! ……あっ……!ご、ごめんなさい!」
 ウワァーー好きって言いたかったのにそりゃないよ私!!
 言い逃げするように爆豪くんの横をすり抜けてダッシュで自分の教室に駆け込んだらうしろから爆豪くんの怒鳴り声が聞こえたので私もう学校辞めたい。



 かようび。食堂までの廊下を心操くんとおしゃべりしながら歩いていたら、爆豪くんが食堂のほうから歩いてきていた。手にはレジ袋。思わず「ヴェッッ」なんて声が出てしまう。
 目ざとくも(耳ざとくも?)その声を聞きつけた爆豪くんが私を見つけ、目をつり上げて睨み、大股に近付いてくる。ヴェッッ距離が近い……!!
「てめぇ…!」
「うううっ爆豪くん今日も不細工ですね……!!」
「アア!?んだとコラ!!」
 心操くんのうしろに隠れながらかっこいいですねと言ったつもりが不細工と言ってしまって、爆豪くんだって面と向かって不細工と言われればそりゃあむかつくってものだ。レジ袋を引っさげた手が小出しに爆発している。無理すぎる死にたい。



 すいようび。放課後になって靴箱で靴を履き換えていると、あとから来た爆豪くんと視線がかち合った。昨日のこともあったのでこれは殺されるよなーと思ってたらおっかない顔してずんずん近付いてくるので誰かに助けを求めようとしたら心操くんが割り込んでくるという乱入イベントが発生した。お呼びじゃないけど助かりましたありがとう。なんて思ってたら心操くんが爆豪くんを煽りだした。火に油を注いでどうするんですか心操くん。でもチャンスだったので逃げた。



 もくようび。今日は爆豪くんに会わなかったのでハッピーだなぁでも爆豪くんの御尊顔を拝めなかったのはアンハッピーだなぁと思いながら電車に乗ったとき、今日の課題を学校に忘れてきたことを思い出した。慌てて電車を降りようと振り返ったけれど無情にもドアは目の前で閉まってしまった。仕方なく次の駅で降りてダッシュで学校に向かったのだけど、ゼェハァ息を切らしてやっと学校に着いたときには全身汗だくで、爆豪くんのお顔は見れないし課題は忘れるし無駄に140円使っちゃうしで今日は残念な日だ。落ち込みながら教室に行って自分の机から課題を取り自動玄関に向かっていると、たった今授業が終わったのか、お友達と一緒に帰るところだったらしい爆豪くんと鉢合わせた。はわわ〜〜今日はなんていい日なの!なんて思う間もなく爆豪くんがおっかない顔をする。
「クソモブてめぇ…」
「はわわ〜爆豪くん今日も不細工ですね…!あっ間違った……」

 さァ〜〜はじまりました!普通科一年みょうじvsヒーロー科一年爆豪のォ!軽率に命をかけた地獄のデスバトル〜〜!!司会は俺、上鳴がお送りします。おやみょうじさん、個性を使わず逃げに徹していますねぇ。おおっとここでみょうじさん、逃げるのに邪魔なカバンを投げ捨てたぁ!と、何を思ったか爆豪がカバンを拾い〜?あっ、あれは!爆豪が手にしているのはみょうじさんの生徒手帳と財布ではないのかぁ!財布と生徒手帳を人質にとられ、なす術なく立ちすくむみょうじさん!いったいどうするぅ!?ああーっ!みょうじさん、土下座をしたぁー!!
 カンカンカンカーン!試合終了。



 きんようび。階段に差し掛かったとき、おいてめぇとお声がかかったので俯いていた顔をあげると爆豪くんがいた。爆豪くんが私の前でとおせんぼしているので帰ろうにも帰れない。お願いだからどいてください爆豪くん、はやく帰らないと夕方のアニメに間にあわないんです……!!
「よおクソモブ、俺はてめぇに聞きてぇことがあるんだがよ」
「ヒェェ……お顔がすごいことになってます爆豪くん……」
「てめぇ、顔合わせりゃ嫌いだのブスだのなんなんだ、ア?」
「ヒェェ……嫌いなんです……あっしまった…」
 くそう、くそう!好きって言いたいのに真逆の言葉が出てきてしまう!この口が、この口がいけないんだ!
 半泣きになっていると爆豪くんが殊更おっかないお顔になったので私の膝は産まれたての子鹿のごとく、ガックガクに震えている。わたしが、私がいけないんです、だからどうか許して……!!
「てめぇホンットむかつくなぁ!俺のほうが嫌いだわ!死ね!!」
「ふぇぇ……」



back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -