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 窓の向こうにいつも同じ人を見る。同じ時間に同じ人が、窓の前を通るのだ。
 私はそれを知っているから、今日もその人を見たくて、窓に張り付いて外を眺める。

 その人が窓の前を通るのを、何年見続けただろうか。
 冬を十回は迎えたはずだから、その回数以上にはなるか。
 その人と視線が絡んだことは、今までただの一度もない。その人の友人と目が合うことはあるけれど、その人が振り向く前に私はカーテンを閉めてしまうから。

 その人が友人を連れ歩かなくなって、その人が一人で窓の前を通るようになって、その人が女性を連れるようになって。
 あれから何年経ちましたか。私はあなたの姿をこの目に焼き付けたくて、未だ窓に張り付いています。
 あなたが窓の前を通らなくなったのは、かつての日に目を合わせてしまったからですか。
 あなたと言葉を交わしたいわけじゃあ、ないんです。あなたと見つめ合いたいわけじゃあ、ないんです。
 ガラス窓一枚隔てたそちらの世界に、あなたを見ることができればそれでいいんです。
 もう一度姿を見せてはくれませんか。
 あなたの顔を一目見られればそれだけで私は救われるんです。
 これは私のわがままなんですけど、もし欲に駆られた私の願いが聞き届けられるなら、あなたの名前が知りたかった。
 


(描写がないけど爆豪くんのつもりでした)



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