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無題


廉ちゃんの硬い膝枕を味わいながら、顔を両手で覆って ああーと気の抜けた声を出す。
廉ちゃんは私に膝を貸したまま私のベッドに背を預けてエロ本を読んでいる。私は指の間からだらしなく鼻の下を伸ばす廉ちゃんの顔を見上げている。
そんな廉ちゃんも好きなわけだけども。

「しあわせだぁー……」
「なんですの、急に。」
「今の私はものすごくしあわせだぁー。廉ちゃんのおかげだぁー。」

にやける顔を両手で隠しながらへへへと笑う。
これ以上のしあわせはどこにあるんだろうね、と誰に言うでもなく一人呟くと、廉ちゃんが読んでいたエロ本を閉じて私のベッドに置き、せやなぁと言う。

「俺と籍入れる……とかやろか。」
「…………んっ?」

思わず両手を外して廉ちゃんの顔を見上げる。耳がほんのりと赤いのは気のせいじゃないはずだ。
廉ちゃんの顔をよく見る為に体を起こすと、廉ちゃんは口元を手で隠して顔を背けてしまった。

「廉ちゃん今のって……」
「堪忍、忘れてや。」
「……! 廉ちゃん、指輪高くなくってもいいよ!」
「えっ!」

廉ちゃんが赤い顔を隠したままバッ!と振り向く。

「ウェディングドレス着れなくってもいいよ! 私、廉ちゃんとずっと一緒にいれるなら、結婚式できなくってもいいよ!」
「なまえちゃん……!」
「廉ちゃん……!」
「俺と結婚してください!」
「喜んでー!」

バッと腕を広げると、廉ちゃんが私に飛びついてくる。二人して赤い顔をしたまま床に倒れ込んだ。
打ち付けた背中が痛いけどしあわせだから気にしない。
ぎゅうぎゅうと抱き締めてくる廉ちゃんの背中に私も腕を回してぎゅうぎゅうと抱き締め返す。
私、今すごくしあわせだ。

「今日のお夕飯がハンバーグだと、私もっとしあわせだなぁ」
「唐揚げでもええ?」
「いいよー」
「よっしゃ、廉造くんが作ったるさかいに待っときや!」

私今最高にしあわせです。




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