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そろそろリアルとゲームの区別をつけろ


「なまえ」
「なーに?」
「そろそろ結婚するか」
「んー…じゃあしよっか」

産まれてから今までずっと、私とローは隣同士だった。親が仲良いから物心つく前から一緒に遊ばされてた。私はローの影響で本が好きになったし、ローは私の影響でゲームをするようになった。
このゲームも、私が先に始めてローに薦めたのに、ローはあっという間に私より強くなってしまった。私はいつも置いてけぼりだ。

「結婚ってどうすれば良いんだっけ」
「役所に届け出るんだろ」
「リアルと同じだね」

ああ、とローが言ったのと同時に モンスターがローに斬られて倒れた。ロッドを脇に抱えてぱちぱちと短く拍手する。
ローが振り返り、うしろ、と短く言った。反射的に振り返り、ロッドで殴る。レベルの低いスライムだった為、霧散するように倒れた。
けれどスライムには物理攻撃ではなく魔法攻撃の方がよく効くし、そちらの方が貰える経験値も高い。失敗したなとロッドの先で地面をつつく。

「ここはまだフィールドなんだ。気ィ抜くな」
「うん、ごめん」

行くぞ、とローが踵を返す。更に奥へ進むらしい。ローを呼び止め 回復の有無を尋ねる。

「まだ半分以上ある、必要無ェ」
「そっか」

落胆したように聞こえたのか、ローは少し考えてから「必要になったら言う」と言った。



現実(リアル)では私たちは大学生で、見た目はどうあれ授業態度は真面目な方だ。先生に気に入られている自信もある。
授業が終われば二人でニケツして家まで飛んで帰って即ゲーム。
同い年だし学部も一緒。家も隣同士で何をするにも一緒だったから 友達には付き合ってるのかだの付き合えばいいだの言われることも合ったが、そういう感情は一切無かった。

「なまえ」
「なーに?」
「婚姻届、お前の欄書いとけ」
「うん」

婚姻届の「妻になる人」の欄に私の名前を書く。「相手の呼び方」や「互いの呼び名」なんて欄もあるらしい。目の前にローが居るから、照れてしまって少し書きづらい。

『そろそろ結婚するか』

ゲームをしている時にローが言った言葉を思い出す。ゲームの中での話だと思っていたけど、現実の話らしい。現に今、私は婚姻届に自分の名前を書いているのだから。


ちなみに私がハマっていたゲーム、ゲーム内で結婚することが可能だ。



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