benarrivato

「つまり、パッショーネのメンバーだって証明しろ、っていう建前で我儘放題してた、ってわけ?」
「我儘放題っていうか……まあそれでいいや」

 ふう、と息をついて、

「とりあえず遊んでた」

 突如現れた銀髪のバンビーノは、しれっとした表情でそう言った。
 当の、年下に良いように遊ばれていたリゾットはこの子供のためにココアを淹れに台所へ。ギアッチョは叫び疲れてぐったりとソファに横になっている。
 なんだか、新しい風が吹いてきた気がした。

「君、なかなかいい趣味してるね。亀甲縛りとか菱縄縛りとか知ってる?それより小児愛好についてどう思う?いいお尻してるね」

 一瞬にして怯えられる。

「言葉の意味はよくわかんねえけど、本能的に分かる。やばいやつだなお前」
「いい勘してるじゃあねえか」 

 小刻みに首を振る青ざめた顔の子供と、むくりと起き上がるギアッチョ。二人とも、瞳には警戒の色が濃い。
 特に子供は、一匹肉食獣達の檻に入れられた子猫の様。なんとも可愛らしい。口が自然と孤を描いた。
 
「で、テメーはなんなんだ?ただの迷子ってわけじゃあねえだろ?」
「手紙に書いてある」
「じゃあさっさと寄越せ」
「ちゃんとお前らが、暗殺チームって分かったら渡す」
「見れば分かんだろ」
「わかんねえ。ちょっとイカれた兄ちゃんばっか」

 まあ確かに、暗殺者と分かる見た目ってなんだろうか。
 そんな言葉が短気なギアッチョに通じるはずもなく、彼は顔に血管を浮かべ、今にも再び叫びだしそうだった。
 しかしナイスなタイミングで、甘い匂いとともにリーダーが帰ってくる。

「で、結局俺らはどうやって証明すればいいんだ」
「リゾット!こいつが本当に上からの指示で来たとは限らないんだぜ!」
「その時は……始末する」

 リーダーの言葉に、ギアッチョは強かに舌を鳴らした。おれとしては中々面白い子だから殺すのは忍びないんだけど――。

「リーダーがそういうなら仕方ないね」
「ちゃんと責任は取れよな」

 向こうで、玄関の開く音がする。
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