月島先輩の修学旅行…?  




「ふあー!楽しみだな!月島ー!」
新幹線の中、隣に座っている友人吉田が嬉しそうに抱きついてくる
「そうだなー!」
かまわず俺も抱き返す
ちょっと吉田がびっくりした顔をしていたが、どうしたんだろ?

それよりも気になるのが小柳のことだ。
昨日はなんだか様子がおかしかった。
黙ってると思えば、家族がいるのにいきなり襲ってきたり、泣きそうな顔をしたり
あいつ…なんか変なことでも考えてたのかな…

これから三日間、俺は修学旅行で小柳と会えない
少し寂しいけれど、三日なんてあっという間だ。帰ったらたくさん土産話をしてやろう
きっとつまらなそうに適当に相槌されてベッドへ押し倒されるに違いない。
まったくあいつの性欲は一体どうなってんだ…。

小柳は俺が今まで生きてきた中で出会ったことのない人種だ。
ある意味苦手といえば苦手かもしれない。
どこでも発情するし俺の言うことは聞かないしいつもどこか余裕があるし
俺ばかりが振り回されていて、あいつはきっといつも通り
今までの男たちはどうやってあいつを制御してきたんだ。聞きたいところだけれど、ちょっとムカつくから聞かない。
なんだかんだ俺は小柳が大好きなようで、小柳の過去の男が見えるたびにイライラしてしまう

心せまいなー…俺。



まだ、あいつと絡むようになって二ヶ月ちょいなのに。
俺はあいつのことばっか考えてしまう
だめだなー、もっと余裕のある人間にならないと!いつまでたっても小柳にからかわれてしまう
先輩という威厳をたまにはあいつに見せてやらないとな!

「そういえばさー、月島って小悪魔ちゃんと結局どこまでヤってんの?」
「ぶっ…!!?」
飲んでいたジュースを思い切り噴出してしまい、前の席の友人にいやな顔をされてしまった

「な、なんだよいきなり!?」
「いやー、お前ってヘタレそうだしどうやって小悪魔ちゃんを満足させられてるのかなーって」
「あーオレも気になる、どうなんだよ?」
「お、お前らな…」

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら吉田を含め友人数名が俺を見つめる

「どうもこうも…それなりにだよ…」
「へー、先日まで童貞だったお前がいう台詞じゃないねー!」
「童貞いうな!」
「で?小悪魔ちゃん、どんな風に鳴かしてんの?焦らしプレイ?それともおもちゃ?」
「楽しそうに聞いてんじゃねーよ馬鹿。 べつに、普通だし…」
そっと俺は窓のほうへ視線をずらす


俺と小柳の行為は 普通…ではない
何故なら攻めである俺が一向に攻められていないからだ
いつも小柳が俺に触れて、上に乗って、腰振って…

  それで俺は…っ…

「もしかして…リード全部小悪魔ちゃん?」
「!!」
「まじかよ!おいおい月島ぁ!男としてそれはないぞー!」
「まぁでも月島が小柳押し倒して腰振れる玉じゃねえなー!」
ギャハハと汚い笑い声をあげて腹を押さえる友人一同に俺はムッとなりながらも事実なので真っ赤になって俯いてしまった


「ヘタレな、月島でも…俺は…」
「へ?」
横の吉田がなにかいった気がして俺は顔をあげたけどさっきの俺のように吉田は下を向いていた
「よし…」
「ヘタレな月島と小悪魔ちゃんの話はここまでにしてみんなでトランプしようぜー!」
が、すぐに顔をあげていつものお調子者に戻ってしまった

「つか、お前から掘り出したんだろうが…」




それから1時間ほどで目的地に着いた
そこからは自由行動で吉田や数人の友人とともに俺は観光をしまくった
たくさん歩いたしたくさん食べたしたくさん写真も撮った
だからホテルについたころにはすっかり疲れ切ってしまっていた

「月島、そろそろ風呂行こうぜ」
「んー。よし、お前らも一緒にいこうぜ」
「おー!」
「大浴場!!」
修学旅行の楽しみの一つといえばみんなで入る大浴場
男同士の裸の付き合いってのも大事だよなー!


「おい!みんなみろよ!月島の!」
「へ?」
脱衣所で服を脱いでいるときだった
隣にいたクラスメイトの一人が声をあげた

「ちょ、でけぇ!」
「お前、普通でそれとか勃起時どうなるんだよ」
「ふわー!すげえ!」
「おま、お前らどこみてんだ!!」
そんなに俺の股間は大きいのだろうか…、普通な気がするんだが


「月島…の…」
ごくりと唾を飲み込む吉田
「お前。なんか今日変じゃね?」
「え!?べ、べつに!」
なんか急に黙ったり下向いたり、変な気がするんだけどなー。

友人たちの冗談を軽くかわしながらも、今日の出来事を俺たちは話しまくった。
そしたらうるさかったのか、風呂場にいた先生に叱られてしまった。
ま、これも修学旅行の楽しみだよな! たぶん…。


そろそろ消灯の時間だ
4人部屋の和室に布団を並べて今日1日の疲れを布団に託す

はぁー、ふかふかだなー。なかなかいい宿だし今度優真たち連れてきたいなー。
小柳も誘ってやると嬉しがるかな? …まずお金貯めなきゃいけないな。こんだけいい宿なんだし結構値段すると思うし…

「月島…」
「っ…!?」
気づいたら吉田が俺の布団の中に入ってきていた

「おま、なにしてんだ!お前の布団は隣だろ?」
「俺…もう我慢できない!」
「ん!?」

あ、あれ!?なんで俺、吉田に口ふさがれてんだ!?

「ふっ、うーっ!」
「おい、なんだようるさいなー」
「静かにしろよ月島ー」

おおおおい!!!おまえらたすけろおおおおお!!吉田がへんなんだあああああ!!!!!!!


「あー…吉田のリミッターついに切れたかー」
「だなー、オレも結構切れかけ」
「風呂場あたりからだろ?」
「ばれた? あんなん見せられたらたまんねえって」

ちょ、おい、お前らなにいってんだ? はやく助けろって!

「吉田ー、そのまま月島の口塞いでろよー」
「暴れないよう紐で縛っとくか」
「んんんんんーー!???」

友人たちの手のひらが俺の脚や腕を這う
そして俺の上に乗っている吉田は、俺の唇を奪い続ける
顔を逸らせないようにご丁寧に手のひらで頬を押さえながら

「ぷはっ…!」
しまっ…!つい息が苦しくなって口を開いてしまった!
案の定吉田の舌が口内に入ってきた

「ふぅ…んっ…ちゅ…」
吉田が少し喘いだ
「んぁ…!?」
友人の一人の手が俺の股間に触れる

「やっぱでけぇよお前の。よかったなー吉田。」
「なにいっ…やめ…っ」
「おいおい吉田ちゃんと口塞いでろよー」
「お前ら!ふざけんな!離せって!」
やっと吉田が離れたので俺はこいつらを叱るように声を荒げた

「ごめん、月島…でももう無理だよ、こんなに月島の唇柔らかくて、舌も気持ちよくて、俺…我慢できないよ」
腹の上にある吉田の股間が熱を持っていることに気づいた

こいつら…本気で…!?

「やめろって!俺はお前らとこんなことするつもりじゃ!」
「いいじゃんたまにはさー、いつも小柳とよろしくヤってんだろ?」
「ふざけ…!やめろって…!」

そしてついに

「あっ…!?」
股間に熱い感触
友人の一人が俺のものを口に含んでいた

「やめっ、ふっ…ぅ」
「月島ぁ、フェラすきなの?」
頭上で俺の手を押さえている友人が楽しそうに言う
ふざけんな、フェラされたのまだ2回目だぞ?好きも嫌いもあるか!
ってかお前らにされてるって時点で萎え…

「すっげ…ハァ、月島のガッチガチ…」
「うっ…」
やっぱり俺の体は刺激に弱すぎる…!

「月島…俺、初めてだし痛いかもしれない、気持ちよくないかもしれない…だけど許してくれ…な?」
顔を赤らめた吉田が自分の下着を脱ぎ捨てる
そして俺のものを自分の孔へと宛がう

「おい、俺ら友達だろ?…冗談だよな?…吉田」
これから起こる予想に俺は震えながら吉田に声をかけた
吉田は悲しそうに、でもどこか嬉しそうに笑みを浮かべながら俺の頬に手をかざすと
「ごめん、月島…」

一気に腰を下ろした








「ってことが起きるかもしれません。なので修学旅行は行かないでください」


「んなわけあるかああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

真面目な顔をして言う小柳の頭を初めて殴った
「痛いです」なんて顔を変えず頭を撫でて言う

「お前な…なに気持ち悪いこと言ってんだよ…」
そう今までのはすべて小柳の妄想
俺が友人に襲われる?そんな気持ち悪いことがあってたまるか!

「…先輩は優しいし、まぁまぁイケメンだし狙ってるやつは少なくないですよ?」
「まぁまぁってなんだよ」
「え。その顔で自分はイケメンとか思ってるんですか?」
「思ってませんんんんーーー!!」

とりあえず1週間後、修学旅行なのに
お前の話が怖すぎてちょっと行きたくなくなったじゃねえか、ばか。





2012.11/28




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