月島先輩の修学旅行前日  



高校2年生の楽しみといえば、そう修学旅行
学業から離れて自分の見知らぬ土地で友人たちと寝泊りをし、自由に遊ぶ期間
先生の目はあるものの、それはとてもとても楽しい時間で

その修学旅行に 明日、先輩は行く。
二泊三日。言葉にすれば短いがその期間、オレは先輩に会うことも触れることも出来ない。

「お土産楽しみにしてろよ」なんて嬉しそうに笑って修学旅行への準備をする先輩を、オレは押し倒した
当然先輩は驚いていたけれど、これから三日会えないというのに寂しくはないのだろうか?
オレは考えただけでも寂しさで押し潰されそうだというのに。

いつからオレはこんなに弱くなってしまったんだろう。
以前は気に入った人間でも1週間会わなくても平気だったのに。
普段ならこんなに長い間一緒にいれば、飽きて別の男のところにいっていたというのに…。

どうして先輩だけ…先輩にだけこんな気持ちになるのだろうか。
わからない、わからない。自分の気持ちが…

「せんぱい…」
「小柳?」
先輩の声が好き、先輩の優しいところも好き、顔も体も熱も…全部が愛おしい
今まで感じたことのない感覚
先輩にだけ、こんな気持ちになる

オレは、本気で先輩のことが好きなんだ

「なんだよー、いきなり押し倒して。そうだ、せっかく優真も茉梨もいることだし後でみんなで…」
「先輩」

ここは先輩の家で、下には先輩の弟や妹がいる。親だっている。そんなのわかってる。
わかってる。触れてはだめだ。
  だめ なのに…

「こや…っ」

溢れる気持ちを抑えることなんて出来なかった

「ばっ…こらっ、なにしてんだ!」
「だめですよ、先輩…大きな声出しちゃ。気づかれちゃいますよ…?」
「だったら離れろっ…!」
「いやです」

これから三日。先輩に触れられない。なら、今触れておかなきゃ
触れておかないと…


  オレが耐えられない


「ぅっ…くっ…」
家族がいていつ誰が入ってくるかわからないこの空間に緊張しているのか、先輩は涙を瞳に浮かべる

「せんぱい…好きですっ…」
ごめんね、先輩。もうオレ自分を止められないんだ。ごめんね…

「んっ…」
体中が熱くなる。先輩と繋がってるこの感触が好きだ。
先輩とひとつになっている。たまらなく気持ちがいい

「せんぱ…っ」
「あっ…動…なっ」

先輩はオレとエッチするの好き?
オレは大好きだよ。
今までいろんな男に抱かれてきたけれど、オレは先輩とヤってる時が一番気持ちいい。
先輩はヘタレでまだ一度も自分から攻めたことも腰を振ったこともないけれど、それでもいい
オレは先輩のためなら平気で苦手な騎乗位だってやれる

先輩、大好き、大好きです…



「はぁ…はぁ…」
中に先輩の熱を感じ心地よい脱力感と疲労感に襲われる
肩で息をする先輩に縋り付くように胸に倒れこんだ

「ば…か、気づかれたら…どうするんだよ…」
「…たまにはこんなスリリングなエッチもいいでしょ?」
「…ばーか…」

口では調子のいいことばっか言ってしまうけれど、本心では怯えていた。
先輩に嫌われてしまったらどうしよう、先輩の家族に見つかってしまったらどうしよう。

なんて…オレって先輩のことばっかだね。
ねぇ、先輩の心の中も、オレでいっぱいだったらいいのに。



先輩…早く帰ってきてね。



2012.11/28




戻る




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -