フラストレーション2


俺は戻ってきた。
この場所へ

『やぁ久しぶり! え?あの子なら去年、一人暮らしを始めたけど』

会いたい。会いたい。



「なんの用だよ」

三年ぶりにみた彼の姿は、俺の想像を遥かに越えていた

引き締まった身体、程よい筋肉、高い背丈、低い声、黒い短髪、整った顔付き

ずっと、ずっと会いたかった

「なんの用だって聞いてんだろ」
「…3年前のこと…、ごめんなさい。本当にごめんなさい」

俺は彼の前で深く頭を下げた

「……連絡もしないで、いきなり現れて迷惑かもしれないけど、俺…ずっと――」
「迷惑だ。帰れ」
「……」
「なんの用かと思えばそんなことか。もういいんだよ、忘れたから。だから帰れ。てめえの顔なんざ見たくもねえ」

彼の冷たく重い言葉に涙が出そうになった

「……会いたかった……ずっと」
ずっと、ずっと、夢ばかり見てた
あんなことした俺を怒ってるだろうって、思った。
だけど、会いたい気持ちが大きすぎて

「聞こえなかったか。俺は帰れっつっただろ。さっさと失せろ」
「しっ――」
「帰れ! 胸糞悪ぃんだよ!お前がいると!  もうくんじゃねえ!」

「ただいまー なあに、お客さん?」

誰、知らない声…

「えっ、ちょ、貴方もしかして!」
「ユカリ!騒ぐなうるせぇ」

ユカリ……?

「だって、しなぁ。彼、あの有名な結城 刹那でしょ?いつ帰国したのぉ?え!もしかして友達!?」
「あ、あの…」

知らない、こんな子。紫那の近くにはいなかった。

「違ぇよ。そいつは兄貴の知り合いだ。つかもう帰るんだよ。忙しいもんな、有名人様は」
「…ッ…」

いやな、言い方っ…

「俺っ―」
「お前さ、男だろ。さっさと気ぃきかせて帰れよ。」

気をきかせる?…まさか!

「彼女…?」
「みてわかんねえかよ。さっさと帰れ」
「紫那!そんな言い方酷いよぉ!」
「ユカリは黙ってろ」

彼女……なんだ。
じゃあ、俺はもう、紫那の

「さよなら結城さん。もう二度と会うこともないでしょうね」

久しぶりにみた笑顔にこんなにも傷つけられるなんて



「知らなかったー!紫那って結城さんと知り合いだったんだー」
「ユカリ!」
「な、なによ、大声だして」
「アイツの話すんな」
「えー!紫那結城さん嫌いなのー?」

嫌い?嫌いなんて生易しいもんじゃない
アイツは俺をっっ


『紫那も俺が嫌いなんでしょ?だからさ……犯してあげる』

『……嫌い、嫌いだよ紫那。俺のことを見てくれない紫那なんて…』

『紫那…イッちゃったね。気持ちよかった?』

『紫那…紫那紫那っ』

『紫那…出ちゃう…!出すよ!!』


俺をっっ…!



「どうしたんだい結城。浮かない顔して」
「マネージャーさん……」
宿泊しているホテルに帰るとマネージャーさんに声をかけられた

「俺って…最低だ」
「結城?」
「俺は…大切な人を傷付けた……謝りもしないで、海外へ逃げた」
「違う!君は逃げたわけじゃない」
「逃げたんだ!」

俺は紫那を傷付け、あの子がどんな思いをしていたなんて気付かずに…今更のこのこと現れて、許してほしい?全く、ふざけてるよ…。

「……どうして」

あんなこと、しちゃったんだろう…
どうして、傷付けてしまったんだろう
どうして、すぐに謝りにいかなかったんだろう
どうして、とても大切な人だったのに、手放してしまったんだろう



「また来たのか。言ったろアンタの顔なんか見たくないって」
「………」

どうして、また、会いに来ているのか

「用がないなら帰れよ」
「あげて」
「は?」
「家にあげて」

紫那は暫くしてはっと笑った

「なに、また犯すのか?好きだなーお前」
「……」
「また『俺のことを見てくれない紫那なんて嫌いー』とかいうのか?」
「……」
「お前とは関わりたくない。帰れ」

そういって背中を向けた彼に思いっきり抱きついた
紫那はバランスを崩して床に倒れ込む

「んだよお前!離れ…」
「離れない!」
「っ、気色悪ぃんだよ!離せ」
「離さない!」

紫那から、あの女の匂いがする
3年前は、俺だけの人だったのに

「ねぇ、紫那…。昨日、あの子としたの?」
「黙れ!お前には関係ねえだろ!」
「紫那…」

また、同じことしちゃうかも

「コッチ…疼かない?」

ねえ、紫那…止めてよ

「っ!? やめ」

お願い俺を止めてよ

「紫那……」

紫那…お願いだよ

「やめっ…やめろよ祐希!」
「――っ」

今、祐希って…

「紫那…今」
「離れろっ!」

力の抜けた俺を力任せに投げ飛ばし、俺は扉に背を打った

「……」
「…"疼く"だと…? ああ、疼くよ。お前に汚された身体がなぁ!」
「っ…」
「力任せに押し倒して、俺の言葉を無視して無理矢理犯して、姿を眩ましやがったのはどこのどいつだ! 会いたくねぇんだよ!お前なんか!」

紫那の荒い息が響く

「紫那…俺ね、まだ紫那のことが好きなんだよ」
「俺はお前なんか嫌いだ…、お前の所為で、俺の人生めちゃくちゃだ…っ」
「紫那、泣かないで…」
「泣いてねえよ…失せろよ…失せろって……」
「紫那…」

泣きそうな声、震えた身体
俺よりも大きなハズなのに、小さくみえるのは何故だろう

「ん…っん」
抱き着いて、深く唇を交わした

紫那、お願い。俺のこと、受けとめて

「はっ…ぁ」
「紫那……」
「ゆ……きっ…んっ」

好き、好き、好きだよ…紫那

「やめ…もうやだっ」
「紫那…」
「せっかく、忘れたのにっ…なんで」


 ――なんで…会いにくるんだよっ

 ――紫那が、好きだから


「あっ」
「紫那…まだ恐い?」
「ばかやろっ、恐いとかねぇよ! っ…一回だけ、だからな」
「…一回だけなの?」
「当たり前だ!俺はお前なんか好きでもねえし、許したわけでもねぇ!だからこれが済んだらさっさと帰れ!」
「紫那…」

紫那はわかってないよ

「紫那が俺以外のものになるの嫌なんだけど」
「ものってなんだ!とりあえずこれが終われば金輪際お前とは ―…うっ」
「"お前とは"…なに?」
「ばか、いきなり指入れんなっ!」
「紫那、彼女と別れてよ」
「黙れっ、誰がてめぇの言うことなんざ、ぁっ」

紫那の前立腺を指で擦る
そしたら紫那のいい顔がみれる

「別れるって言ってよ」
「わ、っかれねぇ! あ、はっ」
「別れるって言って」
「だから別れねぇって! っ…やぁっ、そこやめっ」

今にもイキそうな紫那自身を掴んだ

「ひゃぅっ」
「別れるって言ってよ、紫那」
「あ、ぁあっ、や、イかせ」
「紫那」

指をめちゃくちゃに動かして紫那の中をぐちゃぐちゃにした

「やぁっ、あ、ぁ」
フルフルと震えた腕が俺に巻き付いてくる。それだけで、俺は堪らなく嬉しい

「おかしくなっちゃっ。はぁ、ぁっ」
「紫那。別れるって言ったらイかせてあげる」

悪魔の出す取引に、紫那はもう考えることすら出来ないのだろう

「…るっ、別れるから、イかせて…っ」
「約束だからね」

理性のない彼に言っても無駄だと思うけど、そう脳の片隅で呟きながら、自身から離れた。同時に指も抜く

「…ふぇ…?」
「紫那…いくよ」
「え、ま、待てっ」

紫那の膝裏を持って、俺は紫那の孔に突き刺した

「あああー!!」

突き刺した衝撃で、昇りつめた紫那は辺りに白濁を撒き散らした
紫那の顔についた白濁を見ながら俺のモノは大きさを増す

「やあ、おっきっ」
「紫那…エロいよ」
「あ、んっ」
「紫那…きもちい……ねえ、俺の名前呼んで」
「っ……」

顔を反らして俺の視線を流す

「紫那」
「あっ」
だけど、俺まだ覚えてるんだから

紫那は中を突かれながら胸を触られると、なんでも言うこと聞いちゃうってこと

「呼んでよ、紫那」
「あ、やだ、それッ」
「しな」
「あ、ゆ、、ゆーきっ」
「…そう、それが聞きたかった」
「はぁ、ああっ!」

紫那の声を聞きながら俺はイッた――



「おい」
「…ん」
「起きろ」
「なぁにぃ…しなぁ」
「誰が3回もしていいといった」
「えー…?」
「だから誰が3回も」
「5回だよぉー」
「なに!!?」

最後の方は紫那から煽ってきたのにぃー

「ふざけんなよ!」
「紫那?」
「さっさと帰れよ! 一回ヤっただけで、許してもらったと思うなよ!」
「だから5回…」
「うるさい!帰れ!もうくんじゃねえ!」

真っ赤な顔
ごめんね、紫那

「紫那、俺と住もうよ」
「はあ!?誰がお前なんかと」
「ここ、契約切っちゃった」
「………は?」
「だから、このマンション。今月中には出なくちゃいけないの」
「お前、また勝手にっ」
「ごめんね」
「っ、いつだよ!いつそんなこと」
「紫那が寝てるとき」

俺はね、すっごいワガママだから
紫那が傍にいてくれないと、嫌なんだ
だからね、

「紫那…俺とやり直そう?」
「………っち…」
「ヤり直してくれる?」
「しゃ、しゃーねえーから付き合ってやるよ」
「ありがとう紫那!じゃあヤろうか♪」
「は?  はぁぁぁあ!!!!!????」



紫那、ずっと愛してるよ。





End








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テーマ「人外ファンタジー」
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