君しかイラナイ


「学……もう、いいですか…?」
週末はいつもそう
朔の家で弱いのに酒を呑んで気が付けば行為に及んでいる
下肢に感じる朔の熱い塊
いつもなら、欲しくて…堪らないのに
「や……やですっ」

―― イラナイ ――

「学…?」
「挿れ、挿れないでくださいっ」
「…何故?」

何故?そんなの……

「!!…やだっ」

俺の話も聞かないまま朔は腰を進めた
入ってくる感覚が、、、

「嫌だっ…!!」
朔を押し退けて距離を置く
突然のことで朔は口を開けている
だがすぐにキリッとした表情に変わった。

「………自分だけ気持ちよくなって終わりですか」
「……!!」
確かに、俺は彼の手や舌で何度もイかされた
その行為は嫌ではなかった。
嫌ではないのに……

「……学」

涙が落ちた

男のクセに泣くなと、昔の俺なら言っていただろう
だけど…こんなに、こんなにも一人の人を好きになったら、、、弱くなってしまう

「学……いつものあなたらしくない。どうしたんですか」
「う、くっ…」
「泣いていたらわかりません」
朔は優しく腕を引いて俺を胸の間に収めた

「………かっ」
「え?」
「…最近、、山崎っ、先生と、仲いい…じゃないですかっ」
「山崎先生…?」

山崎先生とは同僚で何度か朔といるところを見ていた
だがそれは先生同士の付き合いというものもあるだろう
だけど―――

「保健室……ッ」

―山崎先生を保健室に入れていた

保健室は俺が初めて朔と繋がった場所
朔は何度もこんな行為をしていた、何度も何度も…気に入った男と…

「学…まさか…私が山崎先生と…」
学はコクリと頷く

「だって、だって朔っ、昔からよくしてたって、っ、俺の事飽きたのかなって…!…もしかしたら俺が勝手に、付き合ってた、って思ってた、だけで、ずっとシてたのかなって、」
嗚咽を繰り返しながら涙で濡れた頬をめちゃくちゃに擦り付けた
そんな俺をみて朔はクスリと笑う

「いったでしょう? “こんな可愛い相手は初めてだ”と」
「でもっ」
「私は学と出会えて変われたんです。学と出会えてよかった。」
「ごま、ごまかしてません…?」
「誤魔化す必要が何処にありますか?私は学以外を抱く気はありません。山崎先生を保健室に招いたのはお話があったからです」

 ―お話―

「ホラ、またそうやって変な方向に考える。」
顔なんか見えていないのに察したようで、朔は俺の背中を軽くポンと叩いた。

「最近学頑張っていたでしょう?体育祭や文化祭で…、だから私より学を見ていられる先生に頼んだんですよ。」
私は職員室にはいないですから。そう朔はいった

「そしたら案の定、溜め息ばかりついていてしんどそうだと山崎先生に教えてもらったんですよ」
「でもそれは!」
顔をあげた俺の口に指を当てる

「“私の事で”だったんですよね。嬉しいですよ。 学が妬く程私を愛している証拠なんですから」
「っ、…うまく、ハメられたって感じですね」
「はまった、でしょう? そんな所が可愛んですよ」
「……///俺一人が空回ってたってこと…ですか」
「そんな学も可愛いです。」

はぁ……
どっと体の力が抜け朔の体に全体重をかける
優しく髪を撫でてくれる綺麗な手

「…朔……」
「?」
「……朔が…欲しい…」

 我が儘かな。俺。

「随分と大胆ですね」

ぼふっ
背中に布が触れる

「…いやですか」
「いえ、全く。」
「………。」
ニコニコと微笑む朔に俺は心の中で溜め息をついた

「でわ、学が冷めてしまわぬ内に…いただきます。」
「……召し上がれ…///」


――嫉妬してしまう程貴方に恋い焦がれてる――。



fin―






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