花火大会




「和人!今日の花火大会だぜ!」

最愛の弟からの頼みとあらば、断るわけがない。

「うん。」
「ベランダから一緒に見ような!結構綺麗に見えるから!」
「うん。わかった。 ホラ授業始まるよ」
「絶対な!」

チャイムがなる前に、国語教諭室から飛び出していく大和
去年は仕事の都合で一緒に見れなかったから、今年こそは見ようと1週間ほど前から言われていたのだ。

冷静に言葉を返していても、実は和人自身も楽しみにしていた。元々お祭り事が大好きな兄弟で地元では有名だったくらいだ。

「花火大会かぁ〜」
「なんだ?恋人とみるのか?」
「!」

つい今夜の事を想像して酔い心地に耽っていると、突然かけられた声にビクリと肩を震わせてしまった
振り返ると、同じ国語科担当の秋山先生がいた。

「あ、秋山先生っ」

不意と目線を逸らすと頬を掌で挟まれ無理矢理前を向かされた

「図星か?」
「違います!」
「へ〜じゃあ何?恋人いないの?可哀想に。オレがセフレにでもなってあげようか?」
「結構です!!!」

この人はいつもこうだ
何処までが嘘で何処までが本当なのかわからない

「今日は弟と見るんです」
「弟君と?」

やっと離れた秋山は自分の椅子に腰かけた

「よくもまぁ〜飽きもせず」
「大事な弟なんですよ!飽きるはずがありません!」
「しかしよく弟も一緒にみてくれるなあ。彼女が出来る年頃だろ〜」
「うっ……確かに」

和人と大和は恋人ではあるが、大和は今青春真っ盛りの高校生
いつ彼女が出来たって不思議ではない
ただ嫉妬深い自分ではきっと、彼女が出来たら大和を哀しませることをしてしまうだろぅ
それが時折恐いのだ


「ま!弟君に彼女が出来たらお前はいつでもオレのところにおいで。慰めてあげるから」
「結構です」




「和人!和人和人!始まる始まる!!」
「はいはい。わかってるよ」

ベランダに2つ椅子を並べて、小さな机を置いて、飲み物や食べ物を並べる

「和人!今日だけ今日だけでいいから、お酒呑んでいぃ?」
「だめです」
「酎ハイだけ!一本だけ!」
「だーめ」

未成年が飲酒なんて駄目にきま…………と待てよ?酒を呑んだら………

「和人〜!」
顔の目の前で掌合わせて懇願する大和

「…仕方がないなぁ。じゃあ俺も呑もうかな」
「ホント!?やった♪」

承諾した途端にこれだ
ホント可愛いよ。大和は…。



「ど〜ん!ど〜ん!あははは!きれいきれ〜!」

酎ハイ2本ですっかり酔ってしまった大和
打ち上がる花火をみて、キャッキャッとはしゃいでいる

「ヤマ…ここにおいで」

自分の膝の上にくるよう促せば、酔いの回った彼なら簡単に来る

「…ん……」
「だーめ、こっち向いて」
「でも…ぉ……花火見れない…」

背中を向けて座ろうとする大和を向かい合って座らすと花火が見れないとごねだした
何処となく舌足らずの話し方に和人の理性が削られていく

「大和はオレより花火の方が大事なの?」
「!違う、もん!カズの方が大事りゃもん!」
「だったら、ちゃんとオレを見て」
「ん………カズの目に花火が映ってる…」

顔が近づく。両方の息が混じりあう程近く……
和人はそっと大和の首裏に手を廻し、引き寄せた

「ん…んぅ……」
「…ん」
「んぁ…」

大和の弱いところばかり攻めたあげく名残惜しめに離れると大和はまだ足りないとでもいうような顔をしていた

「…ふふ…可愛いねヤマは」
「ぁ…んっ」

服を捲って、キスだけで立ってしまった胸の突起に舌を絡ます
淡いピンクの色をした乳首に歯を立てるとピクンと揺れる大和

「あっ…ふっ」

ちゅ…ちゅく

「ふぁ…あぁ」

無意識に揺れる腰が和人自身を煽る
慣れた手付きで、ズボンを剥ぎ取り孔に指を挿れた

「や、あぁっ」

ビクンと反応する大和
不安の視線が送られてくる

「どうしたの?ヤマ…そんな不安そうな顔をして……」

挿れた指をクニクニと動かす
肩に置かれた手が、指を動かす度に強くなるのがわかった

「…っ、ヤ、ヤるの……?」
「うん、ヤマがオレを煽ったから」

ホントは最初からするつもりだったけど

「や、……ここっ……外っ」
「誰も聞いてないよ」
「んくっ……」

口から溢れた涎を舐めとり、首筋に舌を這わす

「中………柔らかくなってきたよ…」
「んはぁ……はぁ…」
「ヤマ…大和」
「ぁっ、あっあ」

指で前立腺を何度も刺激すると大和の中はいっそう柔らかくなる

「…大和……挿れるよ…?」
「ん、……っ」

指を抜いて自身を宛がう
キュッと絞まる孔

「ヤマ……力抜いて」

ちゅっと触れ合うだけのキスをすれば大和が力を抜く事はわかっている。

「あ!ぁぁあっ…!」
「っ…」

グッと押し込むと大和の口からは悲鳴にも似た声が出た

「はぁ、…大和っ」
「ぁ、あ、あぁ…」
「大和……自分で動いてっ」

大和の痴態を見るのが大好きな和人は、突然腰の動きを止める

「あ………」

動きが止まって大和は、悲しい声をあげた

「ねえ…ヤマ」

耳を食みながら愛撫する
そしてゆっくりと大和が動き出す。

「…んっ、ん、ん、ん」

どこか遠慮がちに動いている大和
頬を真っ赤に染めて、閉じた目の奥には濡れ混じる瞳

「大和…可愛い声聞かせてよ」
「ふぁ……ぁあ」

噛んでいた唇を指でそっと撫でてあげる
暫くして慣れたのか、大和は激しく動き始めた

「ぁっ…ああっ、はぁ…ぁんっ」
「…ッ……はぁ…」

どーんと大きな音を立てて大和の後ろで打ち上がる花火がとても儚くて、まるで大和まで消えてしまいそうだった

「ヤマッ…!」
「…ッ…?」

だから大和を抱き締めた
強く強く抱き締めいると、大和自身は訳がわからないようで、目を泳がしている

「…大和……」
「カズ……?」

― 消えないで お願い ずっと傍に いて ―

「愛してるよ、大和…」
「カズ…ん、俺も…」

和人の背中に腕を廻して体を預ける大和
二人で愛の告白を何度も何度もして、その夜は更けていった。


END


2008.8/1








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