秘密基地
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「ターケ!」
待ち合わせ時間を過ぎているというのに悪びれる様子もなく笑顔で手を振りながら駆け寄ってくる友人の眞毅

「5分遅刻だ」
「まぁまぁ細けぇことは気にすんなって」
「お前なぁ…。お前が千暁とデートしたいっつーから下見付き合ってやってんだろうが」
「よし、じゃあ行くか!」
「聞けよ」
「しっかし暑っちーなぁ!向こうでアイス売ってたし食いながら行こうぜ!」

この自由気ままなところは昔から変わっていない。高校生になった今も子供っぽくて…。




「あ、あの公園」
アイスを口に含みながら眞毅は立ち止まり目の前にある公園をみた

「懐かしいなぁ!昔よくあそこで遊んだよな!」
その公園は 中学時代よく眞毅と訪れた場所だ。
中学生で公園?と思うやつもいるだろうがあの公園は人があまり来ず、公園の真ん中にある少し大きめの土管は俺たちの秘密の場所みたいなものだった。
あの中でいろんな話をした。夢も語り、ときどきゲームで遊んだり、教師の悪口とかも言い合ったり。




そういやあの日以来この公園に来なくなったな…




──それは今日と同じように暑い夏の日の出来事だった


「タケー!」
公園の入り口から眞毅が俺の名前を呼びながら駆けてくる

「遅いぞ」
「わりぃっ、途中で良いモノ拾ってさ」
息を切らせながらやつはニヒヒッと嫌な笑みを浮かべた

「じゃーん☆」
そして目の前に突如差し出される雑誌

「…なに」
「エロ雑誌だよ!エロ雑誌ー!くる途中に拾ったんだ☆」

なんてものを拾ってきたんだと正直思った
だけど中学生の俺たちは「エロい事」に興味津々だったのだ。

「な?タケも気になるだろ?」
「ねぇよ」
「嘘つけー☆」
クールぶってみたもののすっかり見過ごされていた。

そして俺たちはいつものように土管の中に入り眞毅の拾ってきたエロ本を開いた

「うわぁ」
初めてみた女性の体
艶かしいその姿に俺たちは息をのんだ
一枚、一枚眞毅がページを捲るたびにドキドキと心拍数が上がり体が熱くなってくるのがわかった

「…エロい…」
眞毅がぽつりと呟いた
眞毅を見ると頬を紅潮させ真剣な眼差しで女の裸を見ていた。

「眞毅…」
「え…?」

名前を呼ぶと半ば吐息混じりに眞毅はこっちを向いた。

「なに…?タケ…」
はぁはぁと息を漏らしながら眞毅は俺を見つめる
その表情は、今見ていたエロ雑誌なんかよりもすごく興奮した。
そっと俺は眞毅に近付く

「お前…勃ってるぞ」
「へっ?」
眞毅の膝小僧を掴み左右に開く

「うわっなに!?俺のちんこどうしちゃったの!?」
「エロいの見たから興奮したんだろ」
「興奮すると…こんなんなんの?」
「うん」
おかしいことじゃない、自然なことだと眞毅に言うと少し安心したようだ

「なぁ…触っていい?」
「は!?なんで!?」
「なんでって辛そうだし」
「い、い、いいって!」
自分のちんこを他人に触られるのが恥ずかしいんだろう
でもそんな態度も俺を興奮させた

「大丈夫だって、気持ちいいだけだし」
「いや、自分でっ…」
「他人に触られた方が気持ちいいらしいぞ」
「ま…まじ?」
「まじ」





「うぁっ…やっぱタンマ!」
布越しに触れると眞毅はビクッと体を揺らし俺の手を掴んだ
「や、やっぱ自分でするっ」
「……」
「いくらタケでも恥ずかしすぎるっ」
「…お前自慰したことないんだろ?」
「えっ、…う、うん」
「じゃあ気持ちいいとこわかんないだろ。大丈夫だって誰にも言わねぇし」
眞毅の額にキスをし、もう一度布越しに触れる
今度は形を確かめるように二本の指で軽く握る

「うっ…」
「なぁ…眞毅…。直接触っていい?」
眞毅の耳に囁くように言うと、ビクッと体を震わせた。

「耳…やめっ」
「ん?」
今度は甘く耳たぶに噛み付いてみた「ぁっ…タケっ」
耳たぶを軽く舐めたあと唇で挟み、同時にズボンの中から眞毅自身を取り出した

「ひぁっ」
外部の空気に触れた所為か眞毅はビクンと体を揺らすと俺にしがみついてきた

「…眞毅…気持ちいいか?」
ゆっくり掌を上下に揺らし時々亀頭に触れた
「あっ…あっ」
俺の手が動くたびに眞毅の体が揺れる

「眞毅…」
「た…たけぇっ」
友人の口から聞いたこともないような甘い声が発せられ、俺はほぼ無意識に眞毅に口付けていた

「んっ…んぁっ」
初めてしたと言うのに、俺は眞毅の舌に絡み付いた
「タ…んぅっ…」
息する間も与えないかのように俺は激しくキスをし、同時に手を激しく動かした

「あっあっ…タケっやばっ」
「眞毅っ…」
「んっ…あっ…あぁっ…!」
眞毅はビクンと体を大きく揺らし俺の手の中でイッた

「はぁ…はぁ」
激しいキスをした所為か眞毅の口から垂れた涎が、放心状態の眞毅をよりエロくみせた

「眞毅…気持ちよかったか…?」
「…んっ…ハマるかも…」
こ憎たらしい笑みを浮かべ眞毅は言い放つ

俺は最後に触れるだけのキスをすると持っていたティッシュですぐに精液を拭き取った


「なぁ…」
「ん?」
「タケは…しなくていいの?」
「俺はいい」
「なんで…?勃ったままじゃん…」
「じゃあ舐めてくれる?」
「は?」
「冗談。俺のはいいんだよ。さ、暑いしアイスでも食いに行こうぜ」
「へへっ、タケの奢りな!」

今の行為をすっかり忘れたかのように満面の笑みを向け土管から出ていく眞毅

俺の足元にあるエロ雑誌なんかもう開いたまま放置されている


おっさんに肉棒を突っ込まれた写真だったけど、俺はそれよりもさっきの眞毅の表情の方が興奮した。


「俺、変態になったのかな」

「おいタケ早くしろよー!」
俺がぽつりそう呟くと外にいる眞毅が土管を覗き込んできた。

「あーはいはい。ちょっと手洗わせろ。ベタベタだ」


そうして俺たち二人だけの秘密が出来たのだ──。






昔を思い出しているのか公園を見つめながら
「もうおっきくなったしあの土管入れないだろうなぁ…」
と、少し眞毅はつまらなそうに言った


「あの公園、来月には取り壊されるみたいだぞ」
「え!?なんで!?」
「公園潰して団地を作るんだと。ほら結構土地でかいし」
「…うそだろ…俺の秘密基地が」
「秘密基地って…別になにも持ってってなかったろ。それにお前全然行かなくなったじゃん」
「…でも、あそこは思い出の場所なんだよ」
眞毅は少し寂しそうに言うと「まぁでもしょうがないよな」といつものようにニカッと笑って

「ほらタケいくぞー!」
公園を横目にスタスタと歩き出した。



──俺にとってもあの公園は、
   あの土管は大切な思い出の場所なんだよ




END



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あとがき××
 全力で謝りますので許してください。oyz

(2011・12/5)

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