第一章  



「月島先輩」

17年間、特に大きな病気も事故も起こした事のない至って平凡な俺月島 昇は、ある日

「オレと付き合ってくださいよ」

“男喰い”で有名な 小柳 悠に告白された。


「憂鬱だ…」
俺は教室の机に突っ伏す
「つっきっしま〜♪」

真横で友人が、楽しそうに声をかけてくる
項垂れた返事を返すと、ヤツはさらに楽しそうに話題を振ってきた

「で?小悪魔ちゃんと付き合うのか?」

小悪魔ちゃんとは 小柳のことだ
ヤツはこの学校で、男喰いとして有名なのだ。
そんなヤツに俺は昨日、告白された。
しかも教室で!!皆のいる前で!!

「バカか。男と付き合うわけねーだろ」

朝から憂鬱だったのはそのことでだ
うちの学校は男子校で、そりゃホモも多いけど俺は違う
親の仕事の都合上、仕方なくこの学校に通うしかなかったのだ

そんな俺も2年生
確かにこの学校にいて男に告白された事は何度かある
しかし今回は相手が悪い

「なんでー小悪魔ちゃん可愛いじゃん」
「その呼び方どーにかなんねぇのか」
男喰いで有名な小柳
喰われた男は数知れず
噂によれば、喰われた奴等は小柳から離れられなくなるそうな

確かに顔は可愛い
猫みたいなフワフワな髪に生意気な瞳
形のよい鼻に、柔らかそうな唇
身長も165と、どちらかと言えば小さい方

狙うやつは少なくない

だけど小柳は気分屋で、気に入った相手以外とは会話すらしない

廊下で見かけた事が何度かあるだけで
やつに好かれるようなことは、むしろ接点すら無い
そんな俺が何故告白を受ける?

「…わっかんね…」

小柳の事は噂でしか知らない
話したのだって、昨日が初めてだと言うのに…。


「先輩」
「っ…小柳!?」
放課後。
さ、帰るかぁーっと勢いよく立ち上がった俺の前に、例の後輩が現れる

「一緒に帰りましょーよ先輩」
「は!?なんで!!?」
つか、なんでここに!?

「あー小悪魔ちゃんだー。なになに?月島お迎え〜?♪」
「吉田っ」
今朝の友人、吉田が楽しそうに後ろから抱きついてくる
相変わらずスキンシップの多いやつだ

「………あのさ」
「?」
「……先輩に気安く触んなよ、汚ぇな」
「!!?」

小柳は吉田を睨み付け、普段より低い声でそう言った
さすがに驚いたのか吉田は、パッと俺から離れた

「おい、小柳」
「なに?先輩」
「お前なに人の友達に“汚ぇ”とか言ってんだよ…っ」
「は?」
「“は?”じゃねえよ!お前なんか昨日初めて会った人間じゃねえか! 吉田とは1年の頃からクラスは一緒だし、お前より仲良いんだよっ!人の友達貶してんじゃねえよっ!!」

クラス中が静まる

「………言いたい事はそれだけですか?」
「……へ?」

予想もしていない返答に俺は間抜けな声を上げる

「じゃあ帰りましょ、先輩」
「はっ!!?」

人がキレたことなんて気付いてないかのように小柳は平然と言い放った
「ちょ、小柳っ」
「早く、先輩」
小柳は俺の腕を掴むとつかつかと教室から出ていく


「っ、離せよ」
「ねえ、先輩」

人気の薄れた廊下で小柳は止まった

そういえば、こっちは靴箱へと向かう道ではない

くるりと、小柳が振り返る
小悪魔な笑顔と共に

「先輩に、友達なんかいらないんですよ、オレだけ見てればいいんです」
「はいっ!!?」

なにを急に…!?

「先輩、えっち…好きですか?」
「!!?」
「あ、顔真っ赤」

赤く染まった俺の顔を見て小柳はクスクスと笑う

「っ、るせぇ。つかそーゆーの望んでんなら俺は無理だぜ?」
「?」
「俺はその、身体だけっつーのは嫌いなんだよ。 それに、そういうのはちゃんと好きな人としたいっつーか…、っ…まず、男とはしない!」

俺の言葉に小柳は「…ぷっ」と吹き出した

「なっ」
「なにそれ、ははっ…そんな古風なやつ初めて見た、あははっ」
「こっ、古風で悪かったな!」

腹抱えて笑う小柳に、なんだか恥ずかしくなって俺は声を荒げた

「んでも…」
「?」
小柳が溢れた涙を拭う

「オレと付き合ったらそんなの関係ないですけどね」
「っ…!?」
そして、唇を奪われた


……!!!!!!!???

「ちょ、なにしっ…」
「……」
「んぅ…!?」
驚いて口を開くと、ぬるりと何かが滑り込んできた

「ん…んっ!!」
「…っ……先輩大人しくして」
「……っぁ…やめ」
力は俺の方が強いハズなのに、押しても押しても小柳の肩はびくともしない
それよりも、段々、キスが悦くなってきて……

「ん、んぅ……んっ…」
「…ん……っ」
「……ぁ……んぅ」

   ……気持ち…いい……

「……っ…はぁ…」
「…はぁ……ふふっ、先輩…感じたんですか?」
「……へ……あ…?」

なんだ…腰が…

壁に凭れ掛かるように俺はズルズルとその場に腰を落とした
小柳は口の端に付いた涎を舐めとりながら膝を付く

「ね……先輩…、そんなに悦かった?」
小柳の甘い声は俺の脳をトロトロに溶かしたようだった
頭が働かない
小柳が触れるとこ、全てが気持ちよかった

「先輩……」
「…ん…」
小柳がまた唇を重ねてきた
今度は俺からも求めた
小柳の舌に、自身の舌を絡めると小柳は嬉しそうに目を細めた

「…んぅ…ん……っ…ん」
「せんぱ……悦いんですか…?」
「……ん…はぁ…」

俺……なに…してんだ…?……頭…まわんね…っ…

小柳の指が首筋からするりと落ちる
鎖骨を辿り、ワイシャツのボタンに手をかけ、開いた隙間から手を差し入れ胸の飾りに触れる
「っあ…!」
身体がびくりと震え、顔をそらした
キスをしていた所為で、涎が垂れる

「先輩……」
逸れた首筋にキスを落とす小柳
右手は俺の手を握り、左手で胸を犯す
小柳のテクニックに、経験のない俺は落ちるばかり

「……っ…はぁ…あっ…」
「先輩……胸、感じる……?」
「……ん……やめ…っ」
「ふふ……先輩…可愛いです…」

小柳の舌が首筋を舐め上げる
同時に乳首をつねられる

「んぁあっ…!」
あまりに強い刺激に俺は、イってしまった

「……ぁ……あ」
「ん…?先輩…イったんですか…?」

ジワリと濡れる下着に嫌悪を感じ、俺は理性を取り戻した

「…っ…!!」
俺の上に股がる小柳の肩を押す

「…先輩?」
「……っ、お前…なに、しやがんだ…っ」
「……なにって……えっちなこと、ですけど…?」
クスクスと頭上の小柳が笑う

「先輩…乳首と首だけでイきましたね。……初めてなんでしょ…?これだけでイくなんて……とんだ変態ですね」
「…ってめ」
「……気持ちよかったんでしょ?素直に言ったらどうです?」

確かに気持ちはよかった
だが、簡単に快感に飲まれてしまった自分が今はとても恥ずかしい
同性に…しかもよく知らない後輩にイかされてしまった

「……どけよ」
「……」
「どけって」
「先輩…」

自分が嫌だ
嫌だ嫌だと言いながら、唇を奪われオマケにイかされた
恥ずかしくて仕方がない

「………くそ…っ」
「…先輩…フェラ…してあげようか?」
「…っ…ふざけ」
「ふざけてないですよ、先輩。下…気持ち悪いでしょ?オレが綺麗に舐めてあげますよ」
「…やめろっ……」

もう……触んな…

そう小さく呟いた

「嫌です。オレは先輩に触れたいよ」
「……いや…」
「…ふふ……“いや”だなんて…女みたいなこと言っちゃって…、ホント変態ですね」
「……っな!?」
「だって……先輩の、硬くなってますよ?」

期待したんじゃないですか?そう小柳は付け加え、俺のズボンに手をかけた

「や、やめろっ!小柳っ!」
「嫌だ嫌だ言っといて、勃つってのは期待してる証拠でしょ?先輩は怖いだけなんじゃないですか?……誰にも、触れられたことがないから」
「……っ」

取り出した俺のモノを舐めるようにみつめる

「…すげ……大きい…」
「やめ……見んなっ……」

そして、とうとう…

「あっ…!!?」

ヤツはそれに、舌を這わした

「ん…はぁ…」
「うっ…ああ、やめ」
「先輩…先から溢れてる」
「んぅっ…!!」

先の割れ目に舌を這わされるとどうも腰が蕩けた

「……先輩……」
「…あっ…やめ」
ついにヤツはそれを口に含んだ

上下する小柳の顔
中で擦る舌の感触、吸い上げられる感覚
静かな廊下には俺の喘ぎ声と、小柳の出す卑猥な音しか響いていない

「…は…あああっ、……なぎ…っ…やば」
小柳のテクニックは、童貞の俺には刺激が強すぎた

「っつ…!」
「…んぅ…!」
俺は小柳の口の中へと欲望を吐き出した
吐き出されたモノを意図も簡単に飲み干す小柳
口から垂れた白濁を舐めとりながら小柳はクスリと笑う

「濃…っ」
(の、飲んだああああああ!!)
「…先輩……ねえ、オレも気持ちよくなっていいですか?」
「……え?」

ま……まさか、俺が突っ込まれる方!!?
一人青ざめていると、小柳はズボンと下着を脱いだ

「…せんぱ……ちょっと待っててくださいね」
「っ…!?」
小柳は自分の指を舐めると、後ろへと這わした
そう、小柳自身の中に

「んっ…」
小柳の顔が目の前で歪む
指が動く度、小柳の眉間にはシワがいった
その表情に抜いたはずのムスコがまた、顔を上げる

「…っそろそろ……かな…」
つぷん…と小柳は自らの指を抜いた

そして

「せんぱい…いきますよ」
「…へ?…ちょっ」
俺の上へ股がり、ゆっくりと腰を落としてく

「……っあ…熱い」
「っく……」
小柳の中は熱くて程よく締まっていて、畝っていた
気を抜けば、全てを吸いとられてしまいそうで…。

「…んっ…デカ…」
「っ…あ」
「…先輩の…んっ……今まで…の、中で………一番、…ハァ……大き…」
俺の上で淫らに揺れる小柳
腰から下が熱くて溶けてしまいそう

「っん…せんぱ……あっ」
「……っ…痛く…ないか?」
あんまり…慣らしてなかった、みたいだし

そう聞くと、小柳は ふっ… と笑って

「イイ……ですよっ」
と、言った

「せんぱ…も…」
「っ、あ…小柳っ…それ、やばっ」
身体が慣れてきたのか、小柳が激しく揺れる
ぐちゃぐちゃと激しい音が結合部分に鳴り響いた

「…っ…ン」
「ァ…んっ……っ」
「…ハァ、先輩…っイく」
「…っ……やなぎぃっ……つ」
「あっ…、先輩の、熱っ…!」

耐えきれず中で弾けると、小柳は腰を逸らしながら感じたのか、イッた
俺に向かって、射精をして…。





「さいっあくだぁ…!」
今日もまた俺は机へと突っ伏す

「おはよー月島ぁ。で?昨日小悪魔ちゃんとどうなった?」
「お前はいつも元気だなあ…。どうもねえよ」

……なんて、嘘だけど。



あのあと顔射した本人は満足そうにニヤリと笑い

『オレの許可なく何イってんですか先輩?罰として、その顔に付いた精液と、オレの中に出した精液、床に垂れた精液全部舐めとってくださいよ』

と、さらりとドS発言を言いはらった

もちろん最初は抵抗したけど…

『はい?文句はいいから早くしてください。ほら早くしないと、誰か来ちゃいますよ?いいんですか?誰かに見られても』

なぁんて言われて…

アイツは学校内で有名な男喰いだから、見られても平気らしいが俺は違う

だから…仕方なく…。


  舐めた………


『んっ…せんぱ…い…はっ、もっと……奥…!』

なんて、中掻き回して舐め取ってる時に言うもんだから、また俺のが疼いて…


『…はっ…あれだけしたのに…また勃ってんですか…?……ホント…変態…ですね』

なんて言われて…。


ああ…もう!これからどうなるんだ俺の人生はぁああ!!!!



「月島…大丈夫?」
「…大丈夫…じゃないかも…」



誰か、俺にまた平凡な日々を返してくれぇええ!!!!







Return




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -