夏は、暑い。
当たり前の事やけど、朝から暑い。
夏生まれだから、暑さは平気とかいう発想が意味分からん。
あと、低体温だからってヤツも同じや。
夏生まれでも、低体温でも、暑いものは暑い。
お蔭で今朝も、無駄に早く目が覚めた。
更には、いつもはスルーするような、ニュース番組の占いまで見てしまった。
占いなんて信じてへんけど、なんだかんだと言ってチェックしている自分がいた。
結果は最下位やったけど。
『………そんなあなたのラッキーカラーは、
緑!!
緑色のアイテムがあなたをハッピーに……』
そんな感じの事を女子アナが、朝からハイテンションで告げていた。
あんなん逆に、こっちのテンションが下がるわ。
占いの結果とかは関係無く。
登校中、占いの内容を思い出し、
緑色の物を思い浮かべてみる。
不思議な事に、探そうとすると見つからない。
あかん。
緑なんて、ポ○モンしか分からへん。
しかも、
緑なんて押し入れの奥で眠っとるんとちゃうやろか。
………いや、売ったか?
まぁ、ポ○モン以外って言うたら、
「財前くん、おはよー」
「………はよ」
後ろから声を掛けられ、誰かと思えば、みょうじやった。
ただ、いつもと少し違う。
主に、髪型とテンションが。
「どないしたん、それ」
「えへへー。この前、買うてん」
そう言ったみょうじの髪は、大分高い位置で二つに結われとった。
所謂、ツインテール。
しかも、その髪を纏めとるのは、
緑色のリボンや。
リボンが長いから、みょうじの髪と、ええ感じに絡まっとる。
「財前くん、感想は?」
「………嬉しそうで、なにより」
「ちゃ・う・や・ろ!?そういうサバサバ系の感想は、求めてへんねん!私が欲しいんは、こう、ちょっとときめく感じの感想!!」
「……………お前、俺にそれを求めるんか」
「……………すんません。調子に乗りました。財前くんには、そんなん無理やわ」
他人に言われるとイラッとくるけど、まぁ事実や。
ときめく感じの感想とか、意味分からん。
大体俺は、初音も
緑やな、って事くらいしか考えてへんわ。
でも、まぁ、
「偶には、そういうんも、ええんとちゃう」
「え。ちょ、な、財前くんっ!?」
初音程やないけど、
緑が似合うアイツも、悪くない。
揺れる
緑に合わせて、俺の心臓も少しだけ跳ねた気がした。
暑くても幸せな、とある朝。