3ばん、りちうむ



面倒臭いけど、前話回想。
………面倒臭いなら、やらんでええって?
うっさい、ほっとけ。
大人の事情や。

まぁ、要約すると、なまえさんの結婚を反対する白石部長が、なまえさんの妄想と闘おうとしとるんや。
ハッ!!
よく分からへんやろ。
俺も分からんわ!


兎に角、なまえさんがなまえさんなら、部長も部長や。
なんで、居もせえへん奴と張り合っとんねん。
ウチの3年は、こんなんばっかりか。
ヘタレにホモに、オカマ、坊さん、もじゃ下駄、パセリ。
そして、アホと、どアh………いや、止めとこ。
生き残れる自信が無い。

その後の部長はというと、リーベを否定して、なまえさんに三行半を突きつけられたらしい。
部長がなまえさんに振られるんなんか、いつもの事やん。



「せやから、財前の所為やで!どうしてくれるんや!!」

「………………別に。言わしといたら、ええやないですか。あの人の事や。その内、飽きますわ」

「俺やって、あないな事言われへんかったら、そうしとったわ!…………多分」

「………何言われたんスか?」

「……………より、……ッ!!謙也より、つまらんってッ!!」

「…………あー………」

「アカン!謙也に負けるとか、許されへん!!しかも、謙也よりつまらんって……ッ!!有り得へんわッ!!」



そう言いながら、謙也さんのロッカーの中身を床に投げ出す部長。
謙也さん以下やって言われてショックなんは、分からんでもないけどな。
やり過ぎやろ。
足の踏み場も無いわ。
どんだけ入っとるんや、あのロッカー。
もう少し、俺らの事も考えて欲しい。
謙也さんは、どうでもええから。

それにしても、部長の話がホンマやったら、面倒臭いな。
なまえさんが『リーベ』を信じたままやと、部長がうざくて敵わへん。
その内、練習量、増やしてくるんとちゃうやろか。



「………白石部長。なまえさんには、俺から嘘やったって言うときますわ」

「絶対やでッ!?」

「ええ、絶対」

「何の話?」



…………………………。
なまえさん登場。

別に聞かれてマズい話ではないのに、思わず固まってしまった。
というよりも、いきなり後ろに立たれたら、固まるやろ、普通。
ほら、アブノーマルな白石部長ですら、固まっと、る……………………。

俺は、見てへん。
固まるどころか、めっちゃそわそわしとる白石部長なんか、俺は見てへんで。

なんで、あないに嬉しそうなんや、あの人。
ホンマ、打たれ強いというか、しつこいというか。



「あ、あのッ!!なまえ、おr」

「ざいぜーん。この前、言っとったCD」

「あ、ども」

「お、俺ッ!!さっきn」

「白石、煩い」



…………なんか、ちゃう。
いつもよりなまえさんが、部長に対して冷たい気がする。

堪えきれずに自分から話し掛けた、白石部長に対する声のトーンが、普段と比べて、低過ぎる。

まさか、そないに怒っとるんか?
どうやら、俺が思っとったより、深刻みたいや。
早よ、なんとかせんと。



「なまえさん。………この前、言っとったリーベの事なんスけど」

「ん?あー………あぁ。うん」

「リーベなんて、居りませんからね?」

「………………ん?」

「せやから、リーベの話は、作り話なんスわ」

「せや!リーベなんて居らんのや!!せやから、俺と結k」

「黙れ、白石」



あぁ、ヤバいヤバいヤバいヤバい。
俺まで反応してしまった。
それくらい恐ろしかった。

やっぱり、嘘吐いた事、怒っとるんやろか。
それはそれで、しゃあない。
もう、終わった事や!



「……なまえさん。もう、リーベと結婚するとか、言わんといて下さいよ。部長がウザいんで」

「せや!財前の言う通りや!!ん?どういう事や、財前!!」

「ホンマの事っすわ」

「えーっと………もしかして2人共、私が本気にしとると思っとるん?」

「「…………………え?」」

「別に、本気で信じとる訳やないけど?」







信じるって素晴らしい!



「「はぁああぁぁああぁッ!?」」

「うっさいなぁ。何なん、二人して」

「ほ、ほな、なんでリーベの話したん?」

「折角、財前が考えてくれたから。ちょっとくらい乗っとこと思って」

「機嫌悪かったんは、なんですの?」

「お腹が空いた!」

「「んなアホな!!」」