10ばん、ねおん
嗚呼。
どうすれば、いいんだろう。
どうすれば、彼女は__。
「どうしたら、なまえはデレてくれるんやろうか」
「知るか」
俺が猛烈アピールを繰り返している意中の彼女は、とても可愛い。
なんというか、もう……うん、可愛い。
何故か後輩の財前と仲がよく、テニス部にもちょくちょく顔を出す。
そしてその度に、俺は思う。
「なまえは、俺にだけ冷たい」
「周知の事実やな」
「なんでや。なんでなんや。なんで、なまえは俺にだけ…っ」
「それは、普段の白石の行動が原因や」
「はあ?特に変な事はしてへんやろ」
「なにを!なにを以てしてそないな事言っとるんや!」
有り得ないとばかりに声を大にして叫び続ける謙也。
正直、俺の行動が原因と言われても分からない。
俺がしている事は至って普通だと思っているし、警察のお世話になるような事はしていない。
第一、彼女は嫌なことは嫌と言える性分だから、本当に迷惑ならそう言われている筈だ。
現に、ちょっと調べれば分かる彼女の連絡先だって、彼女の口から聞くべきだと調べてはいない。
お蔭で、彼女と休日に連絡が取れないのだけれど。
「そのせいで待ち伏せやらなんやらしとったら、本末転倒やな」
「おまっ!俺の楽しみを奪う気か!」
「もっと別のもんを楽しみにせぇ!」
俺は、相談する人間を間違えたのかもしれない。
ただただ、その辺にいたからという安易な理由でこいつに相談するべきじゃなかったかもしれない。
だってこいつ、あほやもん。
「おいこら、あほ石。心の声が全部ダダ漏れや」
「あほか。わざとや」
「…お前は、俺をなんやと思っとるんや」
「せやから、あほ。もしくは、ヘタレ」
「………もう嫌や。こいつの友達やめたい」
ふはははは!
やめれるもんなら、やめてみろ!
それにしても、はぁ。
どうしたらええんや。
「そういえば、」
「黙れ、謙也」
「………なまえが、言っとったんやけど」
「え!?」
なんやって!?なまえやと!?
なまえと聞いては、黙っていられない。
いや、むしろ黙って聞く。
一字一句聞き逃さない!
謙也の蔑むような視線なんて気にしない!
「……白石。お前、まだ告白してへんらしいな」
「………は?」
こく、はく?
え、なんのこと?俺が、告白?
相手はもちろん、なまえやんな?
それ以外ないやんな?
俺、言ってへんかったっけ?
いや、言ったやろ?
いつもいつも、こんなにアピールしとるし、好きやっていつ、も……。
……あれ?
「言って、へんかった?」
「マジでか」
「あれ?あ、あれっ!?え、うそやん。え、え、ええ!?」
「うっさい、白石」
「………マジでか」
「……らしいな」
どうしたことだろう。
俺としたことが、大事なことを彼女に伝えていなかったなんて。
ああ、これこそどうしたら。
「…とりあえず、今からでも言ってこい」
「……そうする」
こうして俺は、なまえに告白する事に決めたのだった。
うっかりラプソディー でも、今更言ったところで、なまえには呆れられるんやろうなぁ。
はぁ。どうやって告白しよ。
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