9ばん、ふっそ



※会話のみ。
※白石不在。


「なぁ、財前」

「……なんスか」

「うん。今の間には、気付かんかった事にしとくわ!」

「…で?なんスか?嫌な予感しかせえへんけど」

「んー、……白石ってさ」

「でた!」

「ん?」

「…いや。なまえさんが改まって話し始める時は、大抵部長の事なんで」

「……そうやったっけ?…まぁええわ」

「で?無理やと思うけど、手短に」

「うん無理。えっとさ、財前から見て、白石ってどうなんかと思って」

「はあ?」

「こらこらこら。そんな顰めっ面するんやないの。可愛いお顔が台無しよ☆」

「やかましいわ。髪の毛五十本くらい引き抜いたろか」

「やめて!全力でやめて!十円ハゲできるから!やるならせめて、隠れる所にしてあげて!嫌やけどな!」

「はぁ……。なんで、いきなりそんな質問するん」

「だってほら。普段の白石って、自分の頭の可笑しさを隠そうともせんやろ?この前だって、階段から落ちそうになって助けられた時、格好良いかも…とか思ったんも束の間、直ぐに変態がこんにちはしたんやで?」

「…いつも通りやん」

「うん。私もそう思う。アレさえ無ければ、彼女の一人や二人、直ぐ出来るのに」

「それは、なまえさんが部長の彼女になるっていう…」

「え?」

「…あ、うん……。何でもない」

「まぁそういう訳で、奴は賢いんだかアホなんだか分からんよね!」

「それは、あんたもやろ」

「うん。さっきからタメ口なの、なんで?一応、先輩やんな?まぁ、ええけど」

「威厳が足らんのとちゃう?」

「ほんっと失礼やな、財前。お詫びにさっさと私の質問に答えやがれ」

「…質問?」

「忘れたんかっ!心底どうでもよかったんやな、財前!それは、白石に対してなのか、はたまた私に対してなのか!どっちなんだいっ!」

「両方」

「…し、辛辣……」

「今更やろ」

「まぁ、そうなんですけどねー。いつも通りなんですけどねー。もうちょっとくらい優しくしてくれても良いんじゃないでしょーかーねー」

「愚痴に付き合っているこの優しさ」

「……ですよねー!それでこそ財前くんや!……あれ、目から汁が」

「ダッサ」

「…ぐすん。ええよええよ。金ちゃんに慰めてもらうから!金ちゃんに頭撫でてもらうから!」

「そうして下さい」

「その前に、財前から見た白石について聞くけどな!」

「チッ」

「で、どうなん?普段はアレやけど、部長としては格好良いなぁとか思っとるん?」

「…そういうなまえさんは、どうなん?」

「ん?格好良いと思うけど?」

「え?」

「顔も頭も、変態なのを除いたら、文句無いし。部活中とか真剣な時の白石は格好良いと思うけど?」

「…え、そうなん?……せやったら、部長と付き合えば」

「無理」

「…………。」

「マジ無理だから。あの変態は、ヒドすぎる。財前もアレくらいのファン、居るんとちゃうん?だったら分かるやろ?」

「……まぁ。でも、好きなんやろ?部長の事」

「はあ?何でそうなるん」

「……(ここまで言っといて無自覚か。それとも認めたくないだけか)」

「そもそも財前は、なんでそんなに私と白石をくっつけたがるん?」

「いや、なまえさんとくっつけば、部長に絡まれるんも減るかと思って」

「…どこまでも自分本位やな。いっそ清々しいけど」

「ツンデレ属性やからな」

「………。」

「………。」

「すいませーん!ここにイタイ人がいまーす!自分でツンデレとか言っちゃうイタイ人がいますよー!」

「やめて…っ!」

「……でもさ、」

「?」

「私と付き合ったところで、白石に絡まれるのは回避不可やと思うで。今度はきっと惚気けてくる」

「…!?」

「どんまい☆」

「うっざ!」



負けず嫌いの無自覚



「ところで、敬語に直す気は無いんやね」

「今日一日は、このままや」

「…ぐすん」