こたつでぬくぬく


ここ何週間か雪が降るとかなんとか予報で言われていて、結局降らないような天気が続いていた。けれど雪が降っても降らなくても、とてつもなく寒いのには変わりがなかった。

木枯らし荘も造りはしっかりしてはいるけれどやはり古めかしい。部屋の中、ひゅうと冷たい風が隣を通り思わず肩を竦めた。それにふっと向かいに座る人物が笑みを零す。


「こんなとこに入っててまだ寒いのか」

「さすがに身体ごと入るわけにはいかないでしょ!」

呆れたように言う目の前の剣城にそう返し、もぞもぞと足を入れ直す。
冬の時期にはやっぱりこれだから、と言って秋ねえに置いてもらったもの。木枯らし荘の住人たちの共有スペースだけれど今は剣城と俺で独占していた。


「やっぱりこたつはいいなー……」

ぐっと中に足を入れ込むと、自分と同じで温かい剣城のそれとぶつかった。親指でつんつんと裏をつつくと、上に出ている剣城の顔の方がしかめられていくのが面白い。


「何やってんだ」

「えー、だって上じゃ剣城に届かないし」

こたつの机の上で思いっきり両手を伸ばしてみせる。足を深く入れ込んでいる分、あとちょっとのところで剣城の腕に届かない。


「じゃあ」

隣にくればいいだろう。自分の隣を示すようにその腕でぽんぽんと机の上を叩く剣城。それが嬉しくて、すぐに一回足を引き抜き隣に移動しようとする。


「うっ……冷たい…」

「それくらい我慢しろ」

 冷たい床を経て剣城の隣へと行き着く。足を伸ばすと再び剣城のとぶつかった。


「…冷た! 足当ててくるな」

「ごめんごめん、当たっちゃった」

上半身もだらんとさせながら机の真ん中に置いてあるみかんに手を伸ばす。こたつにみか
ん。それが一番の冬の贅沢に思えた。


「アースイレブンのみんなに秋ねえのご飯食べてほしいから呼ばないとね」

「そうだな」

「もちろん剣城も来てくれるよね」

「……時間があればな」

「もーそんなこと言わないでよ!」

こうやってゆったりと剣城と話をしていられる。それもまた俺の中では満足なことで。口に放り込んだみかんはとても甘かった。




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短いですが冬のこたつでぬくぬくな天京ちゃんです。地球に帰ってきてこれくらい平和な感じもいいと思います!本当はアスイレみんなで鍋パーティーなお話にしたかったですがなりませんでした……それはまたいつか!

14.02.16


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