「うー……」

今日は円堂監督の用事があるとかないとかで部活が休みだから、いつもより明るい夕日に照らされた道を帰る。そして、少し離れて隣を歩く人物の顔を盗み見て、思わず考えこんでしまった。


(一緒に帰るのはいいんだけど、)

果たしてこれだけでいいんだろうか。付き合う、ってこんなものなんだろうか。

告白したのは俺からで、結局付き合うなんてことになって。けれどいろいろ曖昧なまま。


(付き合うって何すればいいんだろう)

今日は勇気を出して一緒に帰ろうって誘えたし、帰るのにも成功した。でもそれ以外には。もちろん、俺は剣城のことが好きだから、もっと話したいし、いろんなことを知りたい。もっと剣城に触れたいんだけどなあ。

剣城はどう思ってるんだろう。いつもメールだって俺からばっか送ってるし、返信だって素っ気ない文面ばっかり。いろいろ思い起こしてみると情けないことばかりでつい、はあと口からため息が零れた。


「……おい、」

すると、今までずっと黙ってすたすたと歩いていた剣城が声を上げた。


「ん? なに?」

「………見すぎ。」

「へ? 何が?」

「…っ、……だから!」

いきなり歩みを止め、語尾を荒げる剣城。その歩みに並んで足を止める。


「こっちのこと見すぎだって言ってんの!」

「……え?」

どうやら剣城について考えながら歩いていたから、無意識に視線がそちらの方に行ってしまったらしい。


「ああ! ごめんごめん。」

「……歩きにくいんだよ。」

「……ねぇ、剣城。」

立ち止まった剣城の前に回り込む。


「俺のこと、好き?」

「…はあ? なな、何言って…」

「いいから答えて。」

「……き、嫌いじゃない、けど…」

「それは好き、ってことでいいの……?」


そう首を傾げると、慌ててふいっと逸らされる顔。

「よかった! 俺だけじゃなくて」

「……?」

「だって、」

こちらに視線を戻した剣城の顔は赤くて、目の前の細い身体を抱き締めた。


「俺、剣城とこんなことしたいから。」

「…………。」

「付き合うって、ひとまずこういうことかな?」

相手のことをずっと考えてたり、もっと知りたくなったり。その温度に触れて、相手を感じたくなったり。

そう、剣城の耳元で照れ笑いをしながら問いかける。剣城の顔は窺えない。


「……俺も、そうだよ。」

すると緩く背中に回された手。


「……でも、こういうのって最初は手なんじゃ……」

「うそ。俺、間違えちゃった?」

「いや、いいよべつに……」

傾いた夕日が二人分の影を作り、その影が重なっていつもより長くなるそれを眺めながら、剣城の温い体温を感じていた。




Thank you 2000hit!



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2000hitということでフリー小説な天京。そろそろこの二人を手を繋いだり、抱き締めたりから進展させたいです。
サイト掲載などして頂ける場合はこのサイトのものだと分かるようにして下さい。
これからも好き勝手書いていくので、よろしくお願いします!


11.09.29


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