結局はそう、


綺麗な行為だとは思わなかった。いろんなものに反した行為で、罪深くて非道徳的で。でも、そんなことも考えられないほど、惹かれていた。


「……っあ、ふ、……」

少し鼻にかかるようなくぐもった声が耳に入る度、頭のどっかが麻痺していくような感覚に襲われた。組み敷いた体はあまりにも細くて、揺さぶると今にも折れてしまうんじゃないかと不安になる。それでも律動を止める気にもならないし、なにより止められなかった。


「……つる、…ぎ」

乾いた喉で名前を呼ぶ。途切れ途切れになってしまったけれど、剣城はしっかりとその呼びかけに反応を返してくれる。


「……なん、っ…だよ」

生理的な涙が浮かぶ顔。唇をきゅっと固く閉ざしながら必死に声を抑えている。そんな姿がいつもの強がりな姿と重なって、律動が無意識に速くなる。


「……す、き……好き、なんだ…」

浅はかな行為で、許されないものだとは知っている。けれど、そんなの気にならないくらい俺は剣城に惹かれていて。伝えきれない好きって感情を少しでも直接伝えたくて。


「……剣、城が……す、き、」

限界が近いようで俺の精一杯のそれは、単なる余裕のない笑みにしかならなかったけど。その言葉を聞いた剣城の頬が突然赤くなったから。少しくらい、俺の気持ちが伝わったかななんて。思わず力加減も忘れて、目の前の体を抱き締めた。


「……っ痛てぇ、よ…馬鹿」

「ごめ、ん……でも」

もうすこしこのまま、としばらくその体のぬるい体温を抱き締めていた。

馬鹿げた行為で惨めで醜くて。けれど確かに俺は剣城が好きだから。


(笑われたって馬鹿にされたっていい)


結局はそう、

俺は剣城が好きだから。


─────────────


少し頑張った天京。これくらいのやつをいっぱい書けたらいいです書きたいです!


11.09.12


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -