メッセージ


「……ったく……」

いつものように携帯を開く。時間を見ると、今日は部活が長引いたせいか、もう兄さんの面会時間は終わっていた。


「兄さんにメールしとこう……」

電話帳を開く。すると表示される見慣れない名前。


「……はあ…」

『松風天馬』と表示された名前にため息をついた。なかば強力に俺の手から携帯を奪い取って、登録しといたよ、と笑った顔を思い出す。確かに番号交換していいとは言ったけど、俺がいいって言い終わる前にもう俺の携帯はあいつに取られていたし。そしてまた、はあと口からため息がこぼれた。


「明日、お見舞い行くから、っと」

簡素な文面のメールの送信ボタンを押した。明日は部活を早く抜け出して兄さんのお見舞いに行こうか。この頃、きちんと部活に最後まで出ているせいか、面会時間に間に合わなかったり、間に合ったとしても少ししか兄さんと顔を合わせられない日々が続いていたし。そう考えながら、再び歩き始めると


「剣城! 待ってよ!」

そう呼び止める声が聞こえた。その声に素直に足を止めて振り向く。


「またお前かよ……」

「またって何だよー」

「ついさっきまで練習でお前の顔見てたから、もう見飽きた。」

「ひ、ひどい……あ、そう!そのことで…」

そう言って俺の横に並んだ松風は番号交換した時みたいな嬉しそうな笑顔で。


「せっかく番号交換したから。」

自分の携帯を取り出し、何やらかちかちと打ち始めた。しばらくして打ち終わったのか、指で軽く決定キーを押す音が聞こえた。


「……おい、今打って?」

と、同時に軽快な音を奏で、メールの受信を知らせる俺の携帯。携帯を開き受信トレイを確認する。


「……っ! 何してんだよお前!」

すると、登録したばかりの名前からメールが届いていた。


『練習手伝ってくれてありがとう。』

そんなシンプルな一言だけのメール。それを送った本人が目の前で目をきらきらと輝かせていた。


「俺! 剣城が練習手伝ってくれて本当に嬉しかったから。」

「じゃあ口で言え! 口で! わざわざ送ってきやがって…」

「…どうしても伝えたかったから。」


そう携帯を両手で握りしめる松風。

「メールでだって口でだって伝えきれないから。」

だから両方で伝えたかった、とその口が紡ぐと同時に、顔が熱くなるのが分かった。


「じゃあまた明日!」

そう言って走っていく松風。その姿が見えなくなるまで見送って。ふと、視線を携帯に落とす。


「……馬鹿、じゃねぇの…」

表示されたその名前に指を這わせると、その指から再び体温が上がるのが分かった。


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新EDの衝撃から書いてみました´p`新OPは聖帝がいけめんでしたね聖京もおいしいです。嬉しいことがあると無駄に京介に電話とかメールとかしちゃう天馬が愛おしい。


11.09.11


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