オレンジ


部活終わりにいつも見る夕日が好きだ。空がオレンジ色に燃え上がり、照らし出す全てを淡い橙に変えていく。それが何とも幻想的で、しみじみと一日の終わりを感じる。


「明日はきちんと部活出ろよ。」

「……気分次第、な。」

部活の片付けの時、グラウンドの周りをうろうろとしていた剣城を見つけて、監督として少しの説教。と言っても当の本人は監督室のドア近くの壁に寄りかかり、聞く耳持たずな態度。そんな剣城にため息をつき、ふと窓の外を見る。


「……やっぱり、綺麗だな。」

「ああ? 何が?」

「ん? 夕日。」

窓で切り取られた空は焦がれるように真っ赤なのに優しく監督室に降り注ぐ。剣城を見やると、剣城も黙って窓をぼうと眺めていた。夕日のオレンジが透き通るような白い肌にとても映えていて、温かい色合いを醸し出していた。言おうと考えていたことも忘れてそれを馬鹿みたいに眺めていたら。


「……っ、おい。」

「あ……。」

剣城を抱き締めていた。夕日のオレンジが照らし出す剣城が儚くて、消えてしまいそうだったからかな。腕におさめた体は折れそうなほど細くて、こんなに頼りない体がいろんなものを抱え込んでるのかと思うとなんだか切なくなった。


「俺、好きだよ。」

「あ?」

「剣城の蹴るボール。」

「なっ……」

だから一緒に サッカーしよう、なんていつもよりきざなことを言ってみる。少し気取りすぎかななんて少し下にある剣城の顔を見ると、ほのかに赤くなっていて。意外な反応にびっくり。


「わ、分かったから離せ!」

「んんー。」

そう噛みついてくる剣城は年相応に幼くて、こんな可愛いとこもあるんだなとか思って。

さて、この手をどうしよう。


(離すのは何だかもったいない)


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夕日とか大好きです(´□`)


11.08.19

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