部活終わり。いつもは信助と今日の練習について話したり、キャプテンや三国先輩とかにアドバイスをもらったりしていて帰るのが遅くなるんだけど、今日の俺は早々とロッカーに駆け込んだ。

いつもより素早くユニフォームを脱いで、秋ねえに怒られない程度にたたんでバッグに投げ入れる。急いで制服に着替え、ボタンを全て掛け終えぬまま部室を飛び出した。


「あっ、剣城!」

やっぱりいた。校門へと向かう人影。剣城はいつも一人だけやけに身支度が早くて、俺たちが帰ろうとする時にはもういない。だから、今日は剣城に間に合うようにって。剣城はまだ部室と校門の距離の真ん中らへんを歩いていたから簡単に追いつくことができた。


「剣城、いっつも帰り早いね」

「……ん? なんだ、松風か」


「今日は剣城に間に合ってよかった……」

「なんだそれ」

隣に並んだ剣城は呆れたような顔でこちらを見た。


「だって剣城、いつも気付いたらいないんだもん。」

「そりゃお前が先輩とかと話してだらだらしてるからだろ!」

「うっ……それはそうだけど」

「俺は早く帰りたいの」

「でも! 校門までは一緒に歩きたいなーって思ってたから」

校門を出ると俺と剣城は正反対の道なんだし。せめて校門まで一緒ならって。

たわいもない会話をしながら歩いていると、やがて大きな門が見えてきた。


「……反対側だ、ね」

「……うん」

二人して、校門の前で立ち止まった。


「ここまで人いなかったから、手でも繋げば良かったね」

「なっ、何言ってんだよ!」


そう軽口を叩いて、じゃあね、と一歩踏み出す。背中の方から剣城の足音も聞こえた。


「剣、城!」

思わず振り返って名前を呼んだ。剣城はその呼びかけにぴたりと足を止めただけで振り向きはしなかった。けど、続ける。


「俺、剣城のこと好き!」

それはずっと前に伝えた気持ち。けれど、きちんと言葉にしたことはなかったように思えるから。


「だから、一緒に並んで歩いりするのすごく嬉しいから」

また明日、と背中に投げかけた。

やがて、俺の話が終わったのを確認すると再び歩みを進める背中。


その背中に、少しわがままを言いたくなった。


「………少しくらい」



振り返ってくれてもいいじゃない



(そんなこと言われてこんな赤い顔で、振り返れるわけがないだろう)





title:確かに恋だった



まだ付き合いたて天京。部活終わり帰り際二人きりってシチュエーションが好きみたいです。ネタ被りまくりすいません……。

11.09.18






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