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この頃病院に友達ができた。友達というかいい話し相手という感じで俺よりも何歳か年上のお兄さん。偶然にも俺と一緒でサッカー好きで、時々雑誌とかを貸してもらったりする。そして今日もその人の病室へ借りていた最新号を返しに行った。


「優一さーん……」

名前を呼びながらドアを開ける。


「あっ、太陽くん」

すると柔らかな笑顔でこたえてくれる優一さんの他にベッドの傍のパイプ椅子に腰掛ける人の姿があった。今まで一度も見たことがない人物だった。


「これ、借りてた雑誌。ありがとうございました……」

優一さんのベッドの傍に駆け寄り、借りていた雑誌を手渡す。優一さんに渡しながらも、ついつい視線は俺の横のパイプ椅子に座っている人物へと向かってしまう。するとそんな俺に気付いたのか、少しはにかみながら優一さんが口を開いた。


「……俺の弟だよ」

「えっ、弟なんていたんですか!」

「言ってなかったっけ?」

ほら、剣城って選手が雷門中にいただろ?という優一さんの言葉でようやく納得がいった。


「そういえば、雷門中に目つきの悪い選手がいるなーと試合見てて思ったかもしれない……」