「レオ!!!」
コウタとソーマの声が見事に重なる
まあ、叫んで可笑しくないか
僕が飛び込んだのは、イリーニチナさんと化け猫の間
シールド展開はもう間に合わないと思い、ナイフを飛び掛かってきた化け猫の口へと突き刺す
代償とでも言いたいのか、化け猫の鋭利な牙が肩から食い込む
吹き出す血に自分自身若干引き気味で……おまけに口には食べかけのレーションと来た
なんてマヌケな絵柄だろうか
僕の刺したナイフに怯みよろけた時、牙が抜けた
吹き出した血が辺りの雪を赤く染め、溶かしていく
ナイフに怯んだ化け猫はそのまま姿を消してしまった
後ろを振り返れば年相応の表情をして怯えるイリーニチナさんがいた
『…大丈夫ですか?』
そう聞けば凄い形相で睨みつけられる
「な、何が大丈夫ですか!!自分の身体を見てから言ってください!そんな血だらけになって……馬鹿じゃないんですか?!」
パニック状態なのか、目に涙を溜めながら怒鳴る彼女にはいつもの刺々しさは感じられなかった
『大丈夫ですよ、僕は傷の治りが早……』
ぽすりと身体が雪に沈む
たちまち辺りは真っ赤に染まっていく
『……あれ?』
「……傷の治りが早くても多量出血したら死ぬだろうが!!」
ソーマに怒鳴られ気が付いた。確かに
「うわわっ!レオ、リンクエイド!!」
コウタが腕輪を合わせようとするのを左手で払いのける
『…大丈夫だよコウタ……それよりどうしよう…また雨宮上官に怒られる』
立ち上がり肩や膝に着いた雪を払えば、少し足は震え身体はふらついた
「じゃ、じゃあせめてこれぐらいは巻けよ!!包帯!!」
コウタがくれた包帯を受け取ればソーマに奪い取られてしまった
『……ソーマ、巻きたいので返して下さい』
「阿呆……お前巻くの下手くそだろうが」
そう言われてしまえば返す言葉もないので黙っていると、無理矢理包帯で固められた
そして刹那
宙に浮く身体
何事かと思えばソーマに持ち上げられ肩に乗せられていた
『……僕は神機じゃありませんよ?』
「黙ってろ」
そのままヘリの着陸地点へと連れていかれてしまった
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