「紹介するぞ。今日からお前達の仲間になる新型の適合者だ」
「はじめまして、アリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します。本日一二○○付けで、ロシア支部から、こちらの支部に配属になりました。よろしくお願いします」
雨宮上官から紹介を受けた少女…イリーニチナさんはとても素晴らしい棒読みで自己紹介をした
『ロシア……』
「……ああ、そうか。レオは確かロシア育ちだったな」
そう
凄く今更感が否めないが、僕は一応ロシア育ちです
「今更だな…」
『コウタ煩い』
だから肌も白い訳で
「ま、まあそれは置いといて……女の子ならいつでも大歓迎だよ!」
コウタが辺りに花を散らすんじゃないかというようなテンションで彼女に話し掛ければ、あからさまに不機嫌そうにコウタを睨む
「……よく、そんな浮ついた考えでここまで生きながらえてきましたね」
「……え?」
あまりの返答に流石のコウタも怖じけが着いたように一筋汗を流す
そんなコウタを見兼ねるように雨宮上官はため息をついた
「…彼女は実践経験こそ少ないが、演習では抜群の成績を残している…追い抜かれぬよう精進するんだな」
「りょ、了解です」
たじたじと返答するコウタを見て、隣に立つリンドウへと目線を反らす
「アリサは以後、リンドウについて行動するように。いいな」
「了解しました」
目の前の淡々とした会話に流されるままでいれば、いつの間にか話しは進んでいた
「リンドウ、資料等の引き継ぎをするので私と来るように。その他のものは持ち場に戻れ。以上だ」
そう言ってツカツカと雨宮上官とリンドウは場を離れていく
隣では必死に仲良くなろうとしているコウタがせっせと話しかけているが、イリーニチナさんは全く聞く耳を持ち合わせていないようで
そして僕と目が合った
「……貴方が新型適合者の一樹レオ…さん、ですか」
『はい。よろしくお願いしますイリーニチナさん』
そう言って笑顔で握手しようと手を差し出せば、彼女は踵をかえす
「……実践経験が豊富だからといって、あまり調子に乗っていると、痛い目に会いますよ」
そう冷たく言い払い、でていったイリーニチナさん
「あっちゃぁー……何がダメだったんだろうなぁ、レオ?」
彼女は、どこか堪えた表情に見えた
「おーい?」
僕の思い過ごしだろうか
「ねーレオってばー」
『煩いコウタ』
「ひどっ!!」
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