でも私自身に痛みはなくて
朱が舞ったのは私の斜め後から
本能的に後に飛びのけばレオ君の神機の先には一匹のオウガテイル
『………』
無言のまま黙々とオウガテイルを切り刻むレオ君の姿は、
恐ろしさしか感じる事は出来なかった
ただ、ぼーっと見ていることしか出来なかった
あの二人の空間に、到底入れない
―あいつは天才的だが…少し特別な空気を纏ってやがる…―
―気をつけて、見てやっていてくれないか…?―
「リンドウ……貴方の言ってたこと……理解出来た気がしたわ…」
きっとリンドウの思い過ごしだとあまり心配していなかったけど、もう少し見ておくべきよね
オウガテイルも命尽きて黒い煙りを上げはじめた頃
『サクヤさんすいませんでした…!』
私の前には、ぐちゃぐちゃな地面に頭を付け土下座しているレオ君がいた
「え、あぁ……いえ、お礼を言いたいくらいよ?あの時貴方がオウガテイルを斬っていなかったら喰られていたもの…でも、まあ声はかけて欲しかったかな?」
心なしか声が震えている
私は彼を……恐れてる…?
「ほら、頭を上げて頂戴?」
出来る限りの笑顔で
私は微笑んだ
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