『――ッ?!』
驚き跳ね、身を後ろへと反らし身を捻って懐からナイフを突き出す
軍人上がりの反射神経及び反応
なんせ顔と顔の最短距離、なんと3cm
驚かない人間はいるだろうか?
きっと居ないだろう
「あー悪い悪い……そんなに驚くとは思わなくてなー。悪気はあるんだ、許してくれ…というかナイフ降ろしてくれ、若干喉に当たってるから」
―――矛盾しているのは気のせいではないのでしょう
『あ…すいません、つい反射的に…えっとー…』
「ああ、俺か?俺は雨宮リンドウ、よろしくな?」
……この優男風な方が雨宮上官の弟さん?
なんと言うか…予想外だ
『…新しく第一部隊に配属となりました一樹レオと申します』
「おー……って事はあれか、期待の新型の方か。んまあよろしくな?じゃあ今日が初陣……で、俺と行くわけか」
『はい、よろしくお願いします。荷物にはならないよう努力させていただきます、雨宮上官』
さて、どうしよう。雨宮上官が2人だ
悩んでいたら、不意に頭をぐしゃりと撫でられた
「まあ、緊張すんな。んでもって俺はリンドウって呼んでくれて構わないぞ?」
『…分かりました、リンドウ隊長』
「固い」
『リンドウ殿』
「古い」
『リンドウ様』
「他人行儀」
『リンドウさん』
「なんかやだ」
『リンドウ…!』
「おー、それでオッケーだ。これからはリンドウって呼べ、な?」
そう言うとニカッと笑ってまた頭をぐしゃぐしゃとされた
なんだか笑い方があの人と重なった
「あら?もしかして、期待の新人さん?」
ふっと聞こえてきた女性の声に顔を向ければ、そこには黒髪ショートの女性
「あーサクヤ君、今大切なミーティング中だからあっちいってなさい」
“サクヤ”と呼ばれた女性は手をひらひらと泳がせるとターミナルへと消えていった
「……よーし、んじゃあまず第一部隊として大切な事を教えるからな?―――死ぬな、なんとしても生き延びろ…いいな?」
なんとまあざっくりなことで…
『分かりました、リンドウ隊ちょ』
――ゴツン
頭の上に拳が落ちた
『〜っ……分かりました、リンドウ…』
「よろしい、行くぞ?」
なかなか愉快な人かもしれない
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