心配なんだよ



「うわっ!!?」

そう言って、レッドは見事に顔面から勢いよく倒れた
だが、何かに躓くでもなく転ける要素など何処にもなかった

他人の目からしたら

「大丈夫か、レッド」

「あっグリーン。アハハッ、ドジやっちゃった」

額が赤い、良い音してたからな
そう言って苦笑いするこいつの回りにどんどんクラスの奴等が群がってきた
当たり前かもしれない、学園一の運動神経をもっているコイツが転ぶような希なことをしたなら

「立てるか?」

俺がレッドの手をとって立たせようとしたら一瞬ふらついて踏ん張ったのが見えた
周りから見れば気にしない程度だが俺は見逃さない

「レッド」

「ん?って、うわっ!!?」

名前を呼んで振り返る間もなく俺はレッドを抱き上げた
所謂横抱き、世間で言う姫抱っこ

「軽っ」

「何言ってんだ、お前は!!!放せよ!!!」

顔を赤くしながら抵抗を計らうレッドを腕の力を込めることで制した
こいつは本当にちゃんと食べているのか、と思うくらい軽い。また体重減っただろうな
そう頭の片隅で思いながら体育の担当であるタケシに視線を送る
あちらが頷いたのを確認して俺は歩き出した

「……どこいくわけ?」

「保健室」

「オレ、そんな怪我してないよ」

「もう無理だろ」

腕の中のこいつの顔を見ようとしたら顔を背けられた
そんな態度をとれば全て肯定になるぞ

「この頃無茶しすぎだ、もう足に力なんて入らないだろ」

そう、こいつは昔のある一件から足が不自由になっている
と言っても生活には何の支障もないし実際学園一の運動神経保持者だ
だが、長時間の運動、または足を酷使すると麻痺が現れ立つこともままならなくなる
今回に至ってはこの頃多くなった部活への助っ人が関係しているだろう
元から運動が好きなこいつにとっては残酷なことかもしれない

「何で黙ってた」

「……大丈夫かと思った」

「嘘つき。どうせ心配させたくなかったからだろ」

黙り込んだ、図星か。こういうときは本当にわかりやすい
まぁ、こうなるまでわからなかったのはこいつが嘘が上手いせいかもしれないが
どう言ったって、溜め込みやすくて厄介な奴ということには代わりないがな

「黙っていられる方が心配するということを覚えとけ」

「ごめん」

さて、俺はこれからどうやってこの腕の中の奴を素直にさせるか
それが課題だな





お姫様抱っこ、お姫様抱っこかわええ
長くなった、でもこの話をいつか書きたかったんだ
今度短編で「ある一件」について書きたい
先生方にはこの足の事は了承済です
抱っこしただけで赤先輩の体重の増減がわかる緑先輩www


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