O, how this spring of love resembleth. The uncetain glory of April day!


桜が咲き乱れた四月の今日、俺は恋に落ちた。


始業式の今日、俺は二年から三年へと学年が上がりクラスも変わった。始業式が終了し、各々クラスへ入り決められた席に着席していく。席に座わりなんとなく教室内を見渡せば、去年同じクラスだったやつもいれば、今まで見かけたことのないやつもいる。そんな風に教室内を観察していると、担任が入ってきた。担任は去年と同じ先生のようだ。

「みんなおはよー。席着けー。今年このクラスを担当することになった、よろしく。それから今から転入生を紹介する」

担任がそう言うと、教室のドアがガラリと開き一人の女子生徒が入ってきた。背は少し小さめだが、背中まで伸びた黒とも茶色とも言い難い髪が印象的だった。

『名字名前です。よろしくお願いします。』

黒板に自分の名前を書き、小さく頭を下げて挨拶をした後どうしたらいいかわからないといったように担任の顔をちらりと見た。

「名字は先月までアメリカに住んでいたんだ。日本ではまだ不慣れなことが多いだろうから、みんな色々教えてやってくれ。特に、氷室。同じアメリカ出身だからな!よろしく頼むぞ」

名字の席は氷室の隣な。と担任に促され名字さんはゆっくりと俺の隣の席に腰掛けた。

「Hi, よろしく」
『よ、よろしくお願いします』

挨拶をし、笑顔で手を差し出すと彼女はおずおずと手を差し出してくれた。
思えばこの時から俺は彼女に恋していたのかもしれない。

**********

「This Sunday, I have a practice match in this school.(今度の日曜日、ここで練習試合をやるんだ)」
『Basketball?(バスケの?)』
「Yes, of course! Why don’t you come and see it?(もちろん!見に来てみる?)」
『Well…but, I don’t know the rules.(うーん…でも私バスケのルール知らないからな…)』
「Don’t worry about it! That’s fine.(そんなこと気にしなくて大丈夫だよ)」

最初は担任に頼まれたから色々と彼女に教えていたけれども、そのうち自然とさまざまな話をするようになった。彼女は日本語も全く問題なく話せるが、やはり英語の方が楽だといって俺と話をするときは自然と英語になっていた。

「I’m very happy if you come and cheer my team.(君が来て俺のチームを応援してくれたらとてもうれしいな)」
『Well…I’ll go and cheer your team.(そうだね…応援しに行こうかな)』
「Thanks! I’ll do my best.(ありがとう。全力でがんばるよ)」
『I’ll look forward to your play.(楽しみにしてる)』

そう言ってほほ笑んだ彼女の横顔があまりにもかわいくて、こちらの方が照れてしまう。
とりあえず日曜日の練習試合は全力で頑張らなければ。



O, how this spring of love resembleth. The uncertain glory of April day!
(恋の始まりは晴れたり曇ったりの四月のようだ)

**********
タイトルはシェイクスピアからとりました。



戻る