Break Time

※お相手がミュージカル黒執事に出てくるオリジナルキャラクター、アラン・ハンフリーズとなっております。





「うー寒い…」

私は巻いた青いマフラーに顔を埋める。
昼間なのにこの寒さはやばい。
風が吹き、持っているビニール袋がガサゴソと音を立てるのがさらに寒さを引き立てる。
やっぱり上にコートでも着てくるべきだったかと悶々と悩んでいたら

「大丈夫ですか?」

と隣から優しい声が聞こえた。
チラッとそちらを向くとアランが心配そうな顔をしてこちらを見ている。
あまりにもその顔が深刻そうだったので、思わず私は噴き出してしまった。

「大丈夫!コート着ればよかったなぁと思っただけだから」
「ならいいんですが…」

アランはそういうとまた前を見て歩き出した。
それに合わせて私も歩くとそれにしても…と話を続ける。
その瞬間にさっきの深刻そうな顔が頭をよぎり、思わずくすくすと笑い声が出しまった。
その上、心配してくれたのがうれしくて口角が上がるのがわかった。
ルンとステップを踏み、アランを追い越すとくるっと振り向く。

「さっきから何ですか、笑いすぎですよ」

そう言うと少しバツの悪そうな顔をするアランの横に戻り、空いていた左手を握る。
びっくりしたように一瞬手がこわばったが、すぐに握り返してくれた。

「いやー心配性だなぁと思って」
「そうですか?」
「そうだよ!あーやばやば早く帰らないとグレルに怒られちゃう!」

つながった手を引っ張るとしょうがないなぁという風にアランも走り出した。
私は前を向き、次のお店に行こうとするが後ろからブレーキがかかり、つんのめる。
危なかったーと振り向くとアランは何かに目を奪われていた。
なになにーと覗き込むとおいしそうなケーキの写真があった。

「アラン、グレルに怒られるよ?」
「いいじゃないですか、グレル先輩のわがままなんて。どうせ、愛しのセバスちゃんとやらに振られたんでしょう」
「でも買い出し…」

そうなのだ、朝出勤時間に死神派遣協会へ行くとなぜか「野郎ども!!!!!クリパやるわよっ!!」とグレルが声高に叫び、私とアランに買い出しを頼んだのだ、半ば強制的に。
そのときの格好がサンタ服のミニスカ版だったのできっとアランの言うとおり、セバスチャンさんの元に行ったのだろう。
グレルの格好を見た瞬間に綺麗な足に目が行ったのを覚えてる。
全くあの足はけしからんな!
思い出していると突然、腕に痛みが走り目の前が暗くなった。
ちゅ、というリップ音でキスをされたということに気が付く。

「な、な、ななな!」
「気が散漫しているあなたが悪い」

クスと余裕な表情のアランに腹が立つ。

「ばか」
「はいはい、ごちそうさまでした」

さらに腹が立って持っていたビニールをアランにぶつける。
いてっと声を上げたがアランなんか知らないし!
そっぽを向くと隣からはくすくすと笑い声が聞こえてくる。

「ほら、連。せっかくのクリスマスなんですから、ケーキ食べて行きましょう。美味しそうですよ」
「……食べる」

アランは私の言葉を聞き、カフェの扉を押した。
店内からはあったかい空気が流れだし、店員の「いらっしゃいませー」という声が聞こえた。


Break Time
(んもー!!!!あんたたち遅いわよ!!!何してたの!!!!)



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