双子兄弟(年賀)
「あんぱん買ってこいよ」
まだ授業終了のチャイムが鳴り終わっていないというのになに食わぬ顔でやって来た裕斗。その偉そうな第一声に腹を立てるよりも先に、俺は違和感を覚えた。
「あんぱん?」
「あんぱんだって言ってんだろ。耳聞こえてんのかよ」
「なんでそんな喧嘩腰なんだよ!」
ふう、と苛立つ気持ちを鎮めるために溜め息を吐く。こいつとまともに会話をしようだとか考えていたら、その内俺の胃に穴が空きそうだ。クールダウン、クールダウン。……よし。
「いつもお前焼きそばパンだっただろ」
「飽きた」
即答、だった。