おととい
最終電車。十二時の鐘。吐息の白は一瞬だけ幻想を見せた。ノイズまみれのアナウンス。廃れた無人駅。電車を待つ少人数。防寒をしているにも関わらず冷たい指先。コートの中で執拗に指折りを繰り返す。メガネのフレームすら冷たい。ひび割れたホーム。周りは真っ暗。闇より深い。前が明日なら後ろは昨日か。なら、二歩下がったら、一昨日か。そこまで考えて馬鹿馬鹿しくなった。そんなわけ、あるはずない。これは決めつけか、いや違う。なんだ、これ。未練がましいな。吐いた息は白い。馬鹿だな。いま本気で二酸化炭素は白色かと思った。ああ、自分、相当疲れているんだなって自覚。ノイズまみれのアナウンス。もう、生きるのが辛くなった。