タイムマシン



過去はやっぱり振り返るものでしかないのですね。

前進したら明日があるなら、後退したらってわけにはいかないんです。

あの日はもう届かないほど遠い。

彼女に出会って、恋に落ちて、笑い合ったり、喧嘩したり、泣いたり、抱き合ったり、キスしたり。そうして別れて今では出会った頃のドキドキ感はなくなり、彼女のどこに惚れたのかさえ覚えていない。

それでも他愛ない会話の端々を覚えているから、ふと彼女が思い出される。

そうして、愛おしくなって、落ち込んで。

意図して忘れたくないものを忘れてしまう愚かな僕に、タイムマシンをください。





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