クワイエット


鼓動を断ち切りたい。

恥ずかしながら僕は常々そう思っていた。それはこの世からの逃避の表れだと思われる。死にたい、ではなく、鼓動を断ち切りたい。

ずっと、ずっと五月蠅いのだ。僕の身体の中でドクッドクッと絶え間なく響いていて五月蠅い。どうしたらいいんだ。その音は鼓膜だけではなく脳まで響かせるものだから気が狂いそうになる。規則正しく響かせて気持ちが悪い。ロックもバラードもくそ食らえ状態なのだ。

それは生きている証なの、となだめられたって許せない。だから何だ。生きている証だからいいのか。僕にはよく分からない。ならいっそ殺してくれたって構わない。

僕は五月蠅い鼓動を断ち切りたい。






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