グルニエにて


六月某日。仏滅の日。隠し味が隠れ切れずに主張しているマーマレード味のカレーを頬張りながら飯を駆け込むように食べた。火照った体にベタつく汗。最後に冷水で落ち着いた。


「家庭の味だね」


綺麗に装飾された庭に干された洗濯物に太陽の涙がはらはらと落ちてきたというのに何もしようとしない主人公に呆れた。劣等感と言う果てのない輪廻に葬られた優等生に「可哀想に」と薄っぺらな言葉をかけた頭の悪そうな麗人。みんなみんな侘しいね。

奇妙な人間模様を描いていたら鬱になった。頭の中で何人も人が住んでいるみたいで楽しそうにはしゃぎ騒いでいるのだ。違うこれは革命だ。戦争だ。夢の中では平和な世界を想像していたのにこの様だ。鳴り止まない頭痛は大切な何かを確実に蝕んでいるように思えて仕方ない。


「御馳走様」


そうしてマーマレードが詰められた小瓶に筆を突き立てて、人類は今日も合掌するのである。



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