あいらぶ
無礼講。浮気をされた三日前。援助交際と言われてしまいそうなのだが、恋人という存在がいながらも、深夜、目が痛い煌びやかな装飾が施された安っぽいホテル、三時間だけの一夜のゲーム。向こうは三回の射精。イけなかった私。しょうがないじゃん、だって彼でしかイけない身体にされちゃったんだから。ライトアップされた街を独りで歩く。悔しかったんだもん、だって彼のワイシャツに、薄いピンクの口紅がついていて、ああ、浮気されたんだって気付いて。手近に私がいるのに、余所で欲を吐き出した彼。連絡なんかそれから取らないで、もう三日。彼は私じゃない人でもイける、そりゃあ男だから、子孫繁栄の為に、愛がなくても子供を作ってしまう、それが本来、男に科せられた役目。メールの受信ボックスには登録したばかりだと言うのにひっきりなしにお誘いメールだ。誰だって、いい。色々考えてみて、私と彼は、恋人という同じレッテルを二人同時貼っただけの男女の関係なのだな、と思った。体温が恋しくなったら抱き合えばいい、だって恋人なのだから。らしくない、かもしれないけど、そう考えないと、彼が浮気をした事実を受け止められない私。しょうがないじゃん、どんな理由であっても彼が浮気をしたのは揺るぎない事実だし、私が知らない男に抱かれたことも、説明がつかなくなってしまう。浮気したでしょ、って彼に問い詰めたところで、そんなことしてないって、返ってくるに決まってるんだから、私は何も言わないでいるよ。良かった思い出を、だって、そんな、彼のワイシャツについたキスマークひとつで無くすなんて、勿体ないじゃん。