にじ
わーにんぐ。警戒れべるをふぁいぶからしっくすへ。わーにん、わーにん、わーにんぐ。警戒れべるをしっくすからせぶんへ。
雨を降らせた雲に乗って空デビューを見事に果たす。弱冠じゅうなな才の僕。
あの蒸すように暑かった夏の事なんて思い出せずに冬の厳しい寒さに歯を鳴らす。
日が昇って、あれが沈んで、また浮かんでは、鋭く尖った。
「子宮で精子と卵子がセックスしたから子供って出来ると思うんだ、それって僕らの意志がその場になくても愛を育もうとした、自然にお互いが惹かれあっているってことだと思うんだ、だから、うん、」
息を吐いたら白だけが残り、散り、去りました。虚しくも僕の声は誰の鼓膜を共鳴させることは出来ませんでした。
「ごめん、ウソ」
ああ、やっぱり彼女は妊娠なんかしていなかったです。上手く喜べない僕は、これまた複雑そうな顔をした彼女によって、はじめて左の頬にも痛覚があることを知りました。
わーにんぐ。警戒れべるはそのままで。わーにん、わーにん、わわわ、わーにんぐ。警戒れべるはそのままで。
ドクターは僕の大事なところを分厚いメガネを通して見ました。その前はエッチな白い液体を取られて、望遠鏡じゃなくて、顕微鏡で、いいや、違ったかな。とにかく、見ました。
それから意識はシャットアウト。もう何も受け入れない。女も膣も子宮もくそ食らえ。
「チリョウヲ、ヲコナウヒツヨウガ…ガ…」
なーにいってんだ、こいつ。てか、なにこのでぶ。まじはげちらかしてるな。ははは、ばくしょーなんですけど。えっ、うん、にほんごでおっけー。
街を、彼女の頬を濡らした黒い雨は通り過ぎていく。僕を乗せて西から東へと。僕が立ち去ったあとには、雨上がり後のみに架かる七色の橋が彼女を笑顔にしてくれますようにと願った。