霊長類



本当はこの精液は命を繋ぐ未来を紡ぐ為に女性の子宮に歓迎されるべきなのに子宮を持たない俺の胎内に注がれているのだから切ない。「ご、め…ッ」余裕のない擦れた声が鼓膜を響かせるから背中に爪を立てて腰に足を巻き付けて貪るように精液を受け入れてしまう。直腸に熱いものが。大腸に子供の種が未来が愛が入ってくる。同時に俺も同じ分だけ吐き出す。胎内の中心に向かってくる欲に目を細目て笑う。そうして事情が終わってから謝りあうのだ。「ごめん…」「いや、俺こそ…」ごめん。世間に認められない行為に溺れて何度も何度も未来を殺した。謝るくらいならそんな事しなければいいと冷静になるとそう思ってしまうのだが人として同じ性として憧れがある以上やっぱり同じになりたい一つになりたいって不純に手を伸ばしてしまう。「処理するか…」「いや、いい」「腹壊すだろ」「それでもいいから」腹を壊すだけなら罰は軽すぎなのではないか。神様いっそ同性での性行為をした者みんなエイズにしてしまえばいい。それでも俺は胎内にある精液をまた欲しがってしまうのだろう。嗚呼なんて愚かな。





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