あたし


本当は喋ることも、考えることも、褒められることも、笑うのも得意じゃない。

でも、そう見られないように、悟られないように、自分を偽って、綺麗に見せて、あたかも、これがいつもの、普段の、あたしって、言われるまでになった。

だからたまに、ずうっと奥に潜んでた、いじめられっこだった、あたしが顔を出す。そうすれば、みんな、よってたかって、心配してくる。

そうしてくる人たちは、ああ、親友じゃないなって思っちゃう。無くしたくない友達だけど、きっとこれから先も仲良くやっていって、くだらない事で笑いあうんだろうけど、私の中までは入って来れないんだろうって分かったら、寂しくなった。

わたしは理解者を求めていたわけじゃない。自分が複雑な奴なんだって、分かった上で人と付き合っていく。でも、そうしていると、その後繋がりみたいなのが、薄く、途切れそうなのが分かってくる。

だけど、わたし、怖くて。馴れ合いって言われるのかな、仲良しこよしだけじゃ、拒否されるんじゃないかって、人の気持ちまで肉眼で見れたらいいのになって、思う。でもそんなこと、人に言ったら笑われてしまいそうだから、下手におどけて見せたりしてさ、ちょっと派手に表情をとってみたりさ、してさ、そしてさ、また自分を偽ってみたりしてさ、息苦しくなったりしてさ、夜中に唐突に泣いたりしてみてさ、そして私が生まれて死んで。

あたしはきっと、みんなから、嫌われたくないんだと思う。だから、笑顔と毒と、冗談に涙、ほんの少し弱いところを見せて、もろい人間らしく、生きているように見せている。

傍からみたら、あたしからみたら、病んでいて、馬鹿みたいで、見ていて恥ずかしくて思わず目を逸らしたくなるんだろうけど、きっと、これが、言葉足らずかもしれないけど、私なんだろうね。





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