CORRECT ANSWER



僕は自分とは何なのかずっと悩んでいた。何をするために生を受けたのか、そのためには何をするべきなのか。よく分からない。だって僕は自分の意志で生まれたわけではない。だからきっと、僕がこの時代に生を受けたことだって、何かしらの意味があるんだと悟った。だけども、一向に何もわからない。何を目指し、何をするべきか。僕はずっと悩んでいた。

だけど、人生に正しい答えはないんだと誰かが言った。だから僕は考えるのをやめたんだ。本能的に生きることにした。そうなると学校には行かなくなって、食べたい時に食べ、眠たい時に寝た。生を授かったのだから自分に科せられる使命というものもそのようにして僕にとっては自然に訪れるものだと思っていた。

それでいたら、ある日、父は僕を叱った。まだ使命は授けられない。母は泣いた。まだ使命は授けられない。僕は殴られた。まだ使命は授けられない。クズだと言われた。まだ使命は授けられない。

お前みたいな人間はいらない、と言われた。いらない、とは不必要という意味。僕は不必要、そう言ったんだ。それは、この生を受けた世間での話。なら僕には、使命は授けられない、のか。遠くの方で怒号が聞こえてくる。僕はクズだった。必要とされていない。母が縋りつくようにして僕を庇っている。父は目まで真っ赤にして喚いている。

人生に正しい答えはない。
それなら、僕が生まれてきたこと自体が間違いだったのか。根本的に間違っていたのだったら、答えが出るわけがない。そんなの小学生でもわかる。単純な計算を間違った。難しい問題を解いていた高校生が一番やりたくないミスじゃないか。そう思うと全てが合点したように思えた。きっと、そうなんだろう。

僕は誰かに指図されたわけでもなく、静かに刃を手にした。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -