いま
ただちょっとだけ、無性に会いたくなったのです。いくら電話越しに貴方を感じていても、足りないのです。もうそれだけじゃ満たされないくらいに貴方に溺れてしまったのです。
どうしてでしょう。
最初のうちは、まさか、ここまで長く続くだなんて思っていなかったし、お互いの気持ちが溶けちゃいそうなくらいに抱き合うだなんて、同じ夜を何度も一緒に越えることを、するようではなかったのに、気付いたら、それが当たり前になっていました。
結婚の話を上手く切り出せない私たちです。お互い不器用で、臆病で、気持ちが弱虫だから、騙し騙しで笑い合って、抱き合って、口付けを交わして、体温を感じ合っても、もう、満たされないのです。
そろそろ先に進みたいね、足踏みばっかりしているのも飽きてきました。それはきっと貴方も同じはずです。私には今もこれから先もずっと貴方しかいないし、貴方以外他に何も考えられないから、あの言葉を待っていられたけど、そろそろ私だって、待ちくたびれたのです。
今日は残業で疲れているだろうから、胃に優しい卵粥を作りに行ってあげる。だから、ね。もうそろそろ言ったっていいんじゃないの。痺れを切らしながらも、もどかしく淡い期待を毎日抱く私です。そんな日も、嫌いではないのです。この瞬間すら、愛おしいものです。
だから今、会いたいのです。