へんたい
浮気なんかしていない、とか、うなじに誰かのか知らないが赤い花を咲かせられているのに、そんなこと言うから、説得力がまるで皆無。だから嘯くアイツの煩わしい口を、僕の口で塞いでやった。口は災いの元。とぼけたり、嘘をついたりされるのが、ぼく、一番嫌なことなんだ。上唇だけを啄み、堪能する。身体をくねらせながら距離を縮めてくる。熱を帯びた息が顔に吹きかかる。そんな、いやらしい身体、だったっけ。
「はふっ、ン、…っむ、ん」
一度離して、唇を押しあてるだけのキスをした。そうして、離れまい、と言わんばかりに僕にしがみついたソイツを、力ずくで離す。
物足りない、と言った表情を浮かべる。僕はソファーから立ち上がる。力なく見上げられた。
「死ね」
僕がそう言うと、たちまち顔を赤くし、息を荒げた。
「死ね、死んで詫びろ」
そう言えばソイツは性急にバックルを外す。ズボンとパンツを脱いだ。やや上向きの性器が顔を出す。
「いまの、…もーいっかい」
こんな調子だから、僕はコイツを憎めないんだ。