最小公約数
僕と君の最小公約数はどう足掻いたって僕と君だ。だって僕と君は違う。根本的に。性別が違うからね。そうして僕と君は数字ではない。だから最小公約数と例えるには一寸ばかり無理な話だ。いや、でも数字にはいくらでも置き換えれる。それは学力の数値だったり、価値観の絶対評価値、自分に関わるありとあらゆる数字、年齢、身長、体重とかの合計かもしれない。でも、さっきも言った通り現実的に僕と君は数字ではない。数字では表しきれないものがある。本当だ。具現化されて僕と君がいる。素敵だね。生命の美しさだよ。それでも僕は君をどうしても数字に置き換えようとしてしまうんだ。そうして僕と君、二人の世界を、二人だけの世界を作り上げようとしてしまう。悪い癖だね。人である以上の醜さだ。全部受け入れて欲しいなんて贅沢は言わない。ただもう少しだけ、僕と君で居させて欲しいんだ。