とある国に美しい容姿と勉学に通ずる知性を持つ娘がいた。たくさんの笑顔に囲まれ何不自由のない暮らしをしていた。ある日、その娘の前に魔女が現れて耳元でしゃがれ声でこう囁いた。「幸せ者のお前の望みを言って御覧なさい。」娘は両手で首を締めるような仕草を魔女にした。何かを強く訴えているようで、娘は大粒の涙を流しはじめた。魔女は娘の肩に手をおいて哀れむような目をしながらこう言った。「これは面白い望みだね。ああそうかい、魔法をかけて差し上げよう。」娘は魔女の前にひざまづいて両手を胸の前で組んで魔女を崇めた。魔女は長いコートの懐から捻れた杖を取り出して娘の旋毛を三回なぞり何かを唱えはじめた。娘が静かに目を閉じれば杖の先からまばゆい光が落ちた。その光が娘の喉に触れた瞬間、娘は崩れるようにその場で倒れてしまった。「人間てのはね、欠点があるから美しい生き物なのよ。貴女が歌を歌えたら、途端みにくくなるわよ。」魔女は甲高い声で高らかに笑い、横たわった娘の抜け殻に蹴躓きながらどこかに消え去ってしまった。





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