ヴィーナスの甘美


テスト一週間前はテスト期間と言って部活動が停止する。運動部の彼も例に依って部活は休みで、私は久しぶりに彼の家にお邪魔をした。建前は勉強会。教科書とノート、ワークを開いたところでお互い満足して勉強した気になる。

彼の家へ来る前に買ったスナックを食べていたらおもむろに彼が割られたパピコを渡してくれた。手に付いたスナックのカスを舐めてそれを受け取る。やや溶けていて柔らかい。

切り口をあければ案の定溶けたアイスが溢れ出していて、掴んでいた手までもを汚した。彼は下手くそだと笑った。私は笑いながら手に付いたアイスを舐めた。甘くて冷たい。そうして容器にもついたアイスを下から上に辿るように舐める。切り口に噛り付いてアイスをゆっくり吸い上げる。手の温度でアイスを溶かしつつ体温を下げている。

隣の彼が生唾を飲んだ。私は盗むように彼を見た。熱を帯びた視線が絡まる。彼は視線をそのままにして私からパピコを取り上げた。いつもなら面白がって取り返すのだがそんな雰囲気ではない。そう、いまの雰囲気はもう少しアダルト。


勃起し始めた彼の性器に唇を落として先端をわずかに吸い上げた。雄の臭いが咥内に広がって鼻腔から抜ける。ベタつく手元を器用に動かして性器に刺激を与え続ければ熱をさらに持って質量を増させた。

私が生理だから最後までは出来ない。それでも、したいな、なんて。蒸れたナプキンが気持ち悪い。

薄皮を甘く噛んで引っ張れば伸びた。彼は痛そうな声を上げた。頭を撫でる彼の手に余裕がなくなってきた。裏筋を下からなぞり、ひだになった皮の溝まで丁寧になめあげて先端を口にふくめば、前歯か性器に当たっただけで彼は呆気なく果てた。いつもならもう少し耐えていたはずなのだが私のテクニックが向上したのと、久しぶりだからだろう、射精の余韻に紛れてどこか悔しそうに笑っている。

箱ティッシュから適当に数枚取り出して口の中から精液を吐き出した。苦いし塩っぱいし、飲めるような代物じゃなかった。彼はそれでも満足気に笑った。焼けた肌に浮かんだ汗が輝いて見える。

私からキスしようと思ったのに彼があからさまに嫌がった。無理もなかった。自分の性器をしゃぶった、加えて精液がぶっかけられた口でキスをしたいと思わないから。それでも私は口をゆすぎに行くのも億劫に思えて唾と一緒に飲み込んでみる。それでも雄の独特な臭いは消えず口を曲げた。

別にいいじゃない、と強引にキスをする。彼からは甘い味がした。手元に落ちているのは空になったパピコの容器が二つ。この野郎はパピコを独り占めしたのだった。

パピコずるい、と言えば、わりぃわりぃ、なんて言われたからもう一度キスをした。脳を溶かすような甘さはやがて鼻から抜けていき、もっと、と欲した。舌をなめあえば甘味が伝わる。彼は身を捩らせた。頬を掴んで離すまいと密着させる。こんな暑いのに、私にあんなことさせて、せいぜい自分の精子を味わえばいいわ。

明日も行われるであろう勉強会で、今度は私が彼のパピコを奪ってやろうなんて目論んで上唇に吸い付いたのだった。


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徠々さま!
企画へのご参加ありがとうございました。愛あるパピコとの事でカップルでパピコを取り合うだけのお話になってしまいました。申し訳ありません。イチャイチャなんて書けない私です。甘いのはパピコだけなんです、ごめんなさい。

楽しく書かせていただきました!

お粗末さまです!
ありがとうございました!




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